GBP/JPYは金曜日のアジア時間に0.35%上昇し、214.00近辺となった。日本が外国為替市場(為替相場を決める市場)で一方向の投機(短期の値動きを狙う売買)を抑えるために行動した後、円が木曜の上昇分の大半を吐き出したことが押し上げ要因となった。
ロイターによると、日本は木曜日に対米ドルで円を下支えした。公式な為替介入(政府が通貨を売買して相場に影響を与える措置)は約2年ぶりで、片山さつき財務相は為替市場での「決定的な行動」に近づいていると述べた。
東京インフレ、いっそう鈍化
4月の東京都区部CPI(消費者物価指数、物価の上がり方を示す指標)のうち、生鮮食品を除く指数は予想を下回った。前年同月比で1.7%(3月)から1.5%へ鈍化し、市場予想の1.8%にも届かなかった。
ポンドはアジア時間に主要通貨の多くに対して上昇し、例外はカナダドルだった。エネルギー供給のショック(供給不足などによるエネルギー価格の急変)が続く場合、英中銀(イングランド銀行)が利上げ(政策金利を引き上げること)する可能性があるとの発言が背景にある。
木曜日、英中銀は政策金利を3.75%で据え置いた。ベイリー総裁は、エネルギー関連のインフレ(物価上昇)が波及する「二次的な影響」を待つより先に動くと述べた。
為替介入後の反動で元の流れに戻る動きが出ており、GBP/JPYは214.00を試している。円の持ち直しが短期に終わったのは、日本の対応が日銀の金融政策(利下げ・利上げや資金供給など)と整合していないためだ。これは2022年に見られた大規模だが一時的だった介入と同じ構図である。
政策の違いが変動を拡大
円の根本問題は、日本のインフレの弱さにある。4月の東京都区部CPIが想定外に1.5%へ鈍化したことで、日銀が大幅な利上げを検討しにくい状況が続く。日銀は2024年3月にマイナス金利(預金にマイナスの金利を付ける政策)を終了したが、それでも利上げ余地は限られる。このため、財務省は市場と戦ううえで不利な条件を抱えている。
一方で英中銀の姿勢は明確で、ポンド高を支える。英国のインフレ率は2024年3月時点で3.2%とされ、目標の2%を上回っているため、追加利上げの示唆は現実味がある。これにより日英の金利差(国ごとの金利の開き)が広がり、ポンドを保有して円を売る取引が有利になりやすい。
デリバティブ(株価指数・金利・為替などから派生した金融商品)を扱う投資家にとって、介入への警戒と政策の違いの綱引きは高い変動(ボラティリティ、価格の振れの大きさ)を招きやすい。GBP/JPYでは急で大きな値動きが起こり得るため、方向ではなく値動きの大きさを狙う「ストラドル」(同じ権利行使価格・期限のコールとプットを同時に買うオプション戦略)などが検討対象となる。VIX指数(市場が見込む変動の大きさを示す指数)も2025年を通じて中央銀行の動きに反応しており、為替の変動も強まりやすい。
値動きが荒くなりやすい一方、GBP/JPYの基調は上向きとみられる。キャリートレード(金利の低い通貨で調達し、金利の高い通貨で運用して金利差を得る取引)が続き、ポンドに資金が向かいやすい。このため、追加の日本の介入で円高が進んでも一時的とみなし、押し目としてポンド買いを検討する見方が出る。
2022年後半、日本は過去最大の9.79兆円を投じて通貨防衛を試みたが、効果は長続きしなかった。市場は最終的に金利の条件に回帰しやすく、GBP/JPYの上昇を後押ししやすい。GBP/JPYでアウト・オブ・ザ・マネー(現時点で権利行使しても得にならない水準)のプットを売る戦略は、プレミアム(オプションの対価)を受け取りつつ、緩やかな上昇を想定したポジションになり得る。