日本の4月の東京都区部消費者物価指数(CPI、総合から生鮮食品を除く)は前年同月比1.5%上昇した。
市場予想(1.8%)を下回った。
日銀政策への示唆
今回の東京都区部CPI(生鮮食品を除く)が1.5%にとどまったことで、日銀の早期利上げ観測は大きく後退した。日銀は「金融緩和(低金利を維持し資金供給を続ける政策)」を夏場まで維持しやすくなり、「政策正常化(緩和を段階的に縮小し金利を引き上げる流れ)」は先送りとなる可能性が高い。利上げのタイミングは少なくとも第3四半期以降にずれ込む公算がある。
主要な取引戦略は、円安・ドル高方向を想定することだ。「金利差(米国と日本の政策金利の開き)」は依然大きく、米金利は4.5%超で高止まりする一方、日本はゼロ近傍にあるため、「キャリートレード(低金利通貨で借りて高金利通貨で運用する取引)」が続きやすい。USD/JPY(ドル円)は2024年に重要水準の160円を上抜けた局面があり、その後に当局が対応した。現在は再び高値圏を試す可能性が高まっている。
このため、日本株は日経平均先物やコールオプション(買う権利)での買いを検討したい。円安は輸出企業の海外利益を円換算で押し上げ、大型輸出企業に追い風となる。これは2024年に指数が4万円超の高値を付けた際にも働いた要因だ。
債券市場では、今回のデータは日本国債(JGB)利回りが低位に抑えられやすいことを示す。日銀が国債買い入れを大幅に減らす(テーパリング=買い入れ額の縮小)可能性は低下し、利回りは上がりにくい。低金利が続くシナリオとして、JGB先物の買いなどが選択肢となる。
円買い介入リスクと取引の組み立て
一方で、財務省による「口先介入(発言で相場に影響を与えること)」や「実弾介入(為替市場で実際に円を買う介入)」には警戒が必要だ。2024年春の急落局面では、通貨防衛のために累計9兆円超の介入が行われた可能性が指摘されている。取引手法としては、USD/JPYのコールスプレッド(上昇に備えつつ、オプションの組み合わせでコストと損失を限定する戦略)など、急な政策要因の反転に備えて損失を限定しながら上昇余地を狙う形が有効だ。