台湾の2026年1-3月期(1Q26)の実質GDP成長率は前年同期比13.69%となり、輸出と国内需要の持ち直しが下支えした。2026年通年の成長率見通しは9%超へ引き上げられ、従来予想の7.7%から上方修正となる。2025年の8.68%も上回る見通しだ。
新興技術の活用(AIなどの新しい技術を産業で使う動き)に関連する需要が、製造業と設備投資の伸びを高水準で支える見込み。ただし、前年の伸びが大きかった反動(ベース効果:前年の水準が高いと伸び率が見かけ上小さくなりやすい影響)で、先々は成長率が鈍化する可能性がある。
インフレ見通しと政策金利
2026年の消費者物価指数(CPI:家計が購入する商品・サービスの価格をまとめた指標)の上昇率見通しは、1.9%から2.0%へ引き上げられた。2026年残り期間のインフレ率は平均で約2.3%が見込まれ、1Q26の1.2%から加速する想定だ。
中央銀行は、政策金利(中央銀行が景気や物価のために設定する短期金利の基準)を2026年を通じて2.00%に据え置く見通し。これにより、当面は台湾ドル相場や国内金利(市場金利)が大きく動きにくいことが示唆される。
台湾経済が1Q26に13.69%と急伸する一方、中央銀行(CBC)は政策運営の安定を強調している。2026年の政策金利は2.00%で維持される見通しで、高成長と金利据え置きの組み合わせが特定の投資機会を生む、という見方がある。
景気の強さは、直近公表の4月輸出受注が前年同月比15%増となったことでも裏付けられ、株式相場を押し上げる可能性がある。TAIEX指数は年初来で12%上昇し、足元では25,000ポイント近辺を試した。TAIEX先物の買い持ち(ロング:値上がりを見込んで買うこと)やコールオプション(買う権利:将来あらかじめ決めた価格で買える権利)の購入が、上昇局面に乗る手段になり得る。
台湾ドル:レンジ相場を前提とした戦略
台湾ドルについては、CBCの政策金利据え置きが続くなら、景気の強さの割に大幅な通貨高(上昇)は見込みにくい。米ドル/台湾ドル(USD/TWD)は過去1カ月、30.50近辺の狭い範囲で推移しており、この状況が続く可能性がある。通貨ペアの変動率を売る(ボラティリティ売り:値動きが小さいと利益になりやすい取引)として、ショート・ストラドル(同じ行使価格のコールとプットを同時に売る戦略)やショート・ストラングル(異なる行使価格のコールとプットを同時に売る戦略)が選択肢になる、との見方だ。
同様の動きは2025年にも見られ、通年成長率が8.68%と高かったにもかかわらず、中央銀行の予測しやすい政策運営により、通貨が一方向に大きく上昇する展開にはなりにくかった。この過去の例は、台湾ドルがレンジ内で推移しやすいという見立てを補強する。一方、2025年後半には世界的な供給網(サプライチェーン)の懸念で一時的に不確実性が高まり、オプション価格(将来の値動きに対する保険料)が上振れする局面もあった。
主なリスクは、物価が急に上振れする「インフレ・ショック」だ。年後半のインフレ見通しが2.3%と上方にあるためだ。CBCが政策を維持するとの見方が優勢でも、年内に予想外の利上げ(政策金利の引き上げ)に踏み切る可能性は完全には否定できない。こうした局面への低コストの備えとして、金利フロア(一定水準を下回らないようにする金利の保険、ここでは金利変動へのヘッジ手段)を長めの期間で購入する、またはアウト・オブ・ザ・マネー(現状では権利行使しても得にならない水準)の台湾ドルのコールオプションを買う手段が挙げられる。