米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利(フェデラル・ファンド(FF)金利)を据え置き、声明では「緩和バイアス(今後は利下げに傾きやすい姿勢)」を維持した。反対票は4人と、1990年代初頭以来の多さとなった。
声明文は変更されなかった。一部のメンバーは、将来の利下げ・利上げの両方の可能性を明確に示す「双方向のガイダンス(先行きの方向性の示し方)」を求めたが、多数派は従来の文言を維持し、緩和バイアスは残った。
Fed Rate Path Outlook
ABN AMROは、FRB(米連邦準備制度理事会)が年末までFF金利を据え置くとみる。その後、12月に0.25%ポイント(25bp=ベーシスポイント、金利の単位で1bpは0.01%)の利下げから、緩やかな利下げに入ると予想する。
ABN AMROは以降も四半期ごとに25bpの利下げを見込む。政策金利は6月までに2.75~3.00%に達し、「中立金利(景気を押し上げも押し下げもしない金利水準)」の下限に近い水準だとしている。
ジェローム・パウエル議長は、6月会合までに状況が大きく変わり得ると述べた。
Positioning For June Volatility
この慎重な姿勢は直近の経済指標でも裏付けられている。2026年3月のCPI(消費者物価指数)ではコア(食品・エネルギーを除いた指標)が3.1%と高止まりし、早急な利下げを難しくしている。一方、雇用統計は減速しつつも底堅い労働市場を示し、FRBが据え置く余地を与えた。強弱が混在するため、目先は金利が動きにくいとの見方が支配的だ。
焦点は6月会合に移っている。先行きが大きく変わり得る局面として明確に意識されており、大きな「イベントリスク(特定の出来事で相場が急変するリスク)」となる。7月満期のオプションで、期間が長めの「ボラティリティ(価格変動の大きさ)」を買う戦略が考えられる。現在の「インプライド・ボラティリティ(オプション価格から逆算される市場の予想変動率)」は、6月後の政策方針の変化の可能性を十分に織り込んでいないようにみえる。
この「様子見」局面は、2025年半ばに利下げを見込んだ市場ポジションが外れ、急激な巻き戻し(偏った持ち高を解消する動き)につながった状況に似る。こうした経緯と、FOMC内の意見の割れを踏まえると、「多くが想定するより高金利が長引く」前提に立つ取引に妙味がある。例えば、米国債先物を使ったイールドカーブ(国債の期間ごとの利回りの並び)の「フラット化(短期と長期の金利差が縮む動き)」を狙う戦略は、夏にかけてFRBが引き締め姿勢(景気を冷やす方向の金融政策)を維持せざるを得ないデータが続けば有効になり得る。