EUR/USDは木曜日、日中に3週間ぶり安値の1.1655まで下落した後、1.1690近辺で取引され、前日比0.11%高となった。
米国では、年率換算のGDP(国内総生産)成長率が1-3月期に2.0%となり、市場予想の2.3%を下回った。一方、前期の0.5%からは加速した。3月のPCEインフレ率(個人消費支出価格指数=家計が買うモノやサービスの値上がりを示す指標)は前年同月比3.5%。新規失業保険申請件数(失業給付の申請件数で、雇用情勢の目安)は、前週の改定値21.5万件から18.9万件に減少した。
Fed Policy Uncertainty
強弱が混在する指標を受け、FRB(米連邦準備制度理事会)の次の金融政策判断(利上げ・利下げ・据え置き)をめぐる不透明感が残った。パウエルFRB議長は水曜日、現行の政策姿勢は適切との見解を示し、中東情勢の緊張が世界の不確実性を高めていると述べた。
ユーロ圏では、ECB(欧州中央銀行)が木曜日に政策金利を据え置いた。主要リファイナンス金利(銀行に資金供給する際の基準金利)は2.15%、限界貸出ファシリティ(金利の上限になりやすい翌日物貸出金利)は2.4%、預金ファシリティ(銀行がECBに預ける際の金利で、短期金利の下限になりやすい)は2%とした。ECBは、新たに入ってくるデータは概ね見通しに沿う一方、インフレが上振れするリスクと景気が下振れするリスクが強まったと説明した。
ラガルドECB総裁は、意思決定はデータ次第で会合ごとに行うと述べた。今回の据え置きが全会一致だった一方で、利上げも議論されたと明かし、エネルギー価格の上昇が投資や企業・消費者の心理に影響し得ると指摘した。
Positioning For A Breakout
この環境では、一定の範囲で上下する相場(レンジ相場)を前提とした取引は転換点が近い可能性があり、相場が上下どちらかに大きく動く「ブレイクアウト」への備えが必要となる。FRBとECBがともに「データ次第」の姿勢を示す中、次の重要な物価指標や雇用指標で急変し得る割に、オプション市場の予想変動率(インプライド・ボラティリティ=市場が見込む値動きの大きさの指標)が低いように見える。方向性を当てにいくより、値動き拡大に賭ける(ボラティリティ上昇を狙う)戦略が、今後数週間は有効となる可能性がある。
市場は年後半の利下げ観測を織り込む一方、予想を上回る強い経済指標が出れば、その見方が急速に修正され得る。このため、期近の金利先物(短い期限の金利見通しを反映し、金融政策の期待変化に敏感)はFRB高官の発言のトーン変化に反応しやすい。
欧州では、利上げの是非をめぐる議論は一服したものの、次の焦点は利下げ開始の時期だ。ユーロ圏のインフレ率は低下しているが、2.6%と粘り強く、ECBは早期の政策転換を示しにくい。こうした動きづらさは、どちらかの中央銀行が先に動かざるを得なくなり、通貨ペアが現在の狭いレンジを抜け出すとみる投資家にとって、取引機会になり得る。
2025年の局面が示す要点は、中央銀行が相反するデータを背景に様子見(据え置き)に入ると、その後に大きなトレンド転換が起きやすいという点だ。したがって、オプションを使って急な変動拡大に備える、あるいはブレイクアウトを狙う戦略が重要になる。足元の落ち着いた状態は、欧米双方で経済の圧力が積み上がるにつれ、長続きしにくい。