AUD/USDは火曜日、0.7130〜0.7200の70pips(為替レートの最小変動単位)レンジで推移した後、0.7180近辺でほぼ変わらずに引けた。欧州時間早朝に0.7200を付けたものの、水曜日のインフレ指標の発表を控えて0.7180付近へ戻した。
豪州の消費者物価指数(CPI=消費者が購入する商品・サービスの価格の変化を示す指標)は、水曜日01:30 UTCに発表予定。3月の総合CPI(Headline CPI=食品やエネルギーなど変動の大きい項目も含む)は前年比4.7%と予想され、前回の3.7%から上昇見通し。豪準備銀行(RBA)の金融政策の手掛かりとして、トリム平均CPI(Trimmed Mean CPI=極端に動いた品目を除いて基調的な物価を示す指標)も注目される。
Key Events Ahead
米連邦準備制度理事会(FRB)の政策決定は、水曜日18:00 UTCに予定されており、政策金利は3.50%〜3.75%で据え置きが予想される。焦点はインフレ見通しに関するガイダンスで、とりわけホルムズ海峡の混乱に伴う原油由来のコスト圧力(エネルギー価格上昇が物価を押し上げる要因)への言及が注目される。加えて、金曜日のISM製造業PMI(米供給管理協会による製造業の景況感指数)も控える。
15分足チャート(短期の値動きを示すチャート)では、相場は0.7180近辺で、日足の始値0.7191を下回って推移しており、この水準が上値抵抗(レジスタンス=上昇を抑えやすい価格帯)となっている。ストキャスティクスRSI(Stochastic RSI=RSIを基に過熱感を測る指標。低いほど売られ過ぎを示唆)は15近辺。一方、日足では50日指数平滑移動平均線(50日EMA=直近の価格に重みを置く移動平均)0.7041と、200日EMA(長期トレンドの目安)0.6800を上回っている。日足のストキャスティクスRSIは79近辺で、買われ過ぎに近い水準。
AUD/USDの動意の乏しさは、前年同時期の狭いレンジ相場を想起させる。当時も重要なインフレ指標を前に0.7180近辺で推移し、今回と似た状況だった。こうした静けさは大きな「ブレイクアウト(レンジを明確に抜けて一方向に動くこと)」の前兆になりやすく、注意が必要だ。
市場は豪州の四半期CPI(四半期ベースの物価指標)にも注目しており、インフレが前年比3.9%と高止まりし、RBAの目標を大きく上回る見通しだ。過去にはCPIの上振れがRBAの利上げ観測(政策金利引き上げの見方)を強め、豪ドル高につながった。今週も同様の結果となれば、豪ドルが急伸する可能性がある。この環境では、コールオプション(買う権利。上昇局面で利益を狙う手段)で上方向への備えを作る選択肢がある。
Strategy Considerations
一方で、米FRBの姿勢は不透明感を生んでいる。現在、FF金利(フェデラル・ファンド金利=米国の代表的な政策金利)は抑制的(restrictive=景気や物価を冷ます水準)な4.75%で推移し、コアPCE価格指数(Core PCE=食品・エネルギーを除いたFRB重視のインフレ指標)も2.9%と高めだ。議長がタカ派(hawkish=利上げや引き締めに前向き)寄りの発言をすれば、米ドル高につながりやすい。豪州と米国の両イベントが重なるため、発表前に方向性へ賭けるのは難しい。
両中銀イベントによるリスクが大きく、インプライド・ボラティリティ(IV=オプション価格から逆算される将来の予想変動率)は上昇している。相場参加者が様子見になりやすい局面であり、方向を当てずに大きな変動を狙う手段として、ロング・ストラドル(同じ権利行使価格のコールとプットを同時に買う)やロング・ストラングル(権利行使価格をずらしたコールとプットを同時に買う)が選択肢となる。