日銀が政策金利を3会合連続で0.75%に据え置いたことを受け、円は主要通貨に対して上昇し、ドル円は159.25円前後まで下落した。市場予想通りの決定だった。中東の衝突で先行き不透明感が強まり、景気見通しへの警戒が広がっている。
市場は日本時間で06:30(GMT)開始予定の植田和男総裁の記者会見を待っている。注目点は、政策金利を段階的に引き上げていく(緩やかな利上げ)方針に関する示唆があるかどうか、また物価上昇の圧力がエネルギー価格ではなく景気の強さ(需要)から生じるとの見方が示されるかどうかだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)に焦点
ドルは水曜日のFRB決定が焦点だ。FRBは政策金利(短期金利の誘導目標)を3会合連続で3.50%〜3.75%に据え置く見通し。声明では、インフレの上振れリスク(物価が想定以上に上がる可能性)と、原油高に伴う成長の下振れリスク(景気が弱まる可能性)に言及する可能性がある。
米政界では、ホワイトハウスの報道官カロライン・レビット氏が、ドナルド・トランプ大統領が国家安全保障チームとイランの提案について協議したと述べた。提案にはホルムズ海峡の再開と恒久停戦が含まれる。米国がこれを追求するかどうかの詳細は示されなかった。
日銀の記者会見は年8回の金融政策決定会合の後に実施される。総裁が金利判断を説明し、成長(経済の伸び)とインフレ(物価上昇)を論じ、先行きの政策手掛かりを示すため、円相場が動きやすい。
円は日銀が金利を0.75%に据え置いたにもかかわらず上昇している。市場参加者が現状の判断以上に、今後の発言姿勢や見通しを重視していることを示す。ドル円の1週間物オプション(一定期間に決めた価格で売買できる権利)の「予想変動率(インプライド・ボラティリティ:市場が見込む値動きの大きさ)」は14%を超え、今後数日で値動きが大きくなる想定が強まっている。
ボラティリティの注目水準
注目は水曜日のFRB会合に移る。金利は3.50%〜3.75%に据え置かれる見通しだ。米国と日本の金利差が過去8カ月にわたり2.5%超で推移しており、この差がドルを支える主要因となっている。市場は、インフレリスクに関するFRBの文言の変化(微妙なニュアンス)に注目すべきだ。
2025年夏には南シナ海の緊張を受けて「安全資産」とされる円に資金が向かい(リスク回避の円買い)、ドル円は1週間で4%下落したが、1カ月後にFRBがインフレ警戒を強める姿勢を改めて示すと、動きは完全に巻き戻った。地政学要因で動く通貨相場は、金融政策の方向性の違いが続く限り、短命に終わることがある。
不確定要素は中東情勢と原油への影響だ。6月限のブレント原油先物(将来の受け渡し価格をいま決める取引)が1バレル95ドル近辺で推移するなか、ホルムズ海峡に関する報道は価格急変を招き得る。CBOE原油ボラティリティ指数(OVX:原油オプションから算出する予想変動の指標)は45と高水準で、オプション市場では急な上昇への備え(保険)に高いコストが支払われている状況だ。