要点
- スポット金はGMT午前5時53分時点で1.1%安の1オンス=4,628.88ドルとなり、4月7日以来の安値を付けていました。
- 6月限のNY金先物は1.1%安の4,643.70ドルとなり、スポット銀は3%安の73.23ドルまで下落していました。
- チャート上のXAU/USDは4,625.56で推移し、54.26ポイント(1.16%)下落しており、価格は5日・10日・20日移動平均線を下回っていました。
金は火曜日に3週間ぶりの安値へ下落していました。トレーダーは戦争リスクそのものよりも、戦争がインフレと金利に与える影響に焦点を移していました。スポット金はGMT午前5時53分時点で1.1%安の1オンス=4,628.88ドルと、4月7日以来の安値水準となっていました。6月限のNY金先物も1.1%安の4,643.70ドルまで下落していました。
今回の下落は一見すると直感に反するように見えていました。金は地政学的緊張局面で需要が高まりやすいものの、今回は紛争が原油高を招き、ホルムズ海峡の大半が閉鎖された状態が続き、インフレが長期化するとの懸念を強めていました。その結果、典型的な「安全資産買い」から、金利リスクを意識した取引へと軸足が戻っていました。
ドルが小幅に上昇したことも下押し圧力となっていました。ドル高は他通貨建て投資家から見た金価格を割高にします。利回りが底堅い局面と重なると、地政学情勢が緊迫していても金は勢いを失いやすい状況になっていました。
原油110ドル超が金取引の構図を変える
ホルムズ海峡の大半が閉鎖された状態が続くなか、原油価格は1バレル=110ドルを上回る水準で推移していました。原油高は輸送・生産コストを押し上げ、結果として総合インフレ率に波及しやすい点で金市場にも影響していました。中央銀行が二次的なインフレ圧力の強まりを警戒すれば、利下げ余地は小さくなっていました。
金はインフレヘッジとして機能しやすい一方、利息を生まない資産でもありました。市場が「高金利の長期化」を織り込みやすい局面では、利回りの得られる資産が相対的に魅力を増します。そのため、インフレ懸念が強まっても金価格が下落する展開は起こり得ていました。
中東情勢は依然として最大の材料でした。米当局者によれば、ドナルド・トランプ大統領は2か月に及ぶ戦争の解決に向けた最新のイラン提案に不満を示していたとされていました。エネルギー供給の混乱、インフレの加速、数千人の死亡を伴った衝突の後だけに、和解期待が後退していました。
FRB判断待ちで様子見ムード
米連邦準備制度理事会(FRB)は、水曜日に終了する2日間の会合で政策金利を据え置くとの見方が大勢でした。焦点は利上げ・利下げの決定そのものではなく、インフレ、エネルギー価格、今後の政策経路に関するトーンでした。原油ショックが先行きを複雑にするなか、FRB高官が利上げの可能性を示唆するかどうかが意識されていました。
Marexのエドワード・メアー氏は、FRBは当面は金利を動かさず、世界経済が減速すれば第4四半期に利下げに動く可能性があると指摘していました。これは金にとって材料が割れる構図でした。短期的には、粘着的なインフレとドル高が金相場の重しとなりやすい一方、成長が鈍化し利下げ観測が再燃すれば、金は改めて下支えを得る可能性がありました。
市場は今週、欧州中央銀行(ECB)、英中銀(BOE)、カナダ中銀の動向も注視していました。主要中銀が慎重姿勢を強めれば金には逆風となりやすい一方、ハト派寄りのトーンが弱い経済指標と組み合わされば、防衛的資産としての地金需要が再び強まる余地がありました。
地政学がなおブレイクアウトのリスクを左右
金市場は現在、外交進展とインフレリスクの狭間で綱引き状態となっていました。米国とイランが合意、もしくは暫定合意に達すれば、原油が落ち着き、ドルが軟化し、金は上昇モメンタムを取り戻す可能性がありました。特にドルに下押し圧力がかかるかたちになれば、金の上放れを後押しする余地がありました。
一方、協議が決裂した場合、初動はなお複雑になり得ていました。衝突リスクの再燃が安全資産需要を押し上げる一方で、原油が再び急騰すればインフレ懸念が高まり、ドルを支える可能性がありました。金が強い上昇トレンドを再構築するには、地政学的不安だけでなく、明確なドル安が必要になる可能性がありました。
現時点では、原油高が続き、FRBが焦点となるなか、トレーダーは地金を積極的に追いかける動きには慎重であるようでした。
テクニカル分析
XAUUSDは4625近辺で推移しており、足元の反落が続いていました。短期のサポートを割り込み、4月中旬の持ち合いゾーン(保ち合い)の中心から下方向へじり安となっていました。4700~4750のゾーンを上抜けて勢いを維持できなかった後、金には下押し圧力が再び強まっていました。
テクニカル面では、短期的なバイアスは弱気でした。価格は5日線(4688)および10日線(4739)を下回って推移しており、両移動平均線は下向きに転じて目先の上値抵抗として意識されていました。さらに20日線(4733)も現値の上方に位置しつつ横ばい気味となっており、上昇モメンタムの喪失と調整局面への移行を示唆していました。
注目水準:
- サポート:4600 → 4500 → 4400
- レジスタンス:4685 → 4740 → 4850
市場は現在、目先の重要水準である4600のサポート帯を試していました。ここを明確に下抜ければ、4500方向への下落余地が広がり、売りが加速すれば一段安の可能性も高まっていました。
上値では、4685が直近の上値抵抗として意識されていました。このゾーンへの戻りは、価格が4740近辺を回復しない限り、戻り売り圧力に直面しやすい状況でした。4740の回復は、相場構造を安定させ、下落の一服を示すうえで必要と見られていました。
総じて金はサポートを失い、調整的な下落トレンドへ移行しつつあり、短期モメンタムは売り手優位でした。焦点は4600が維持されるか、あるいは下値のより深いサポート水準へ下げが拡大するかに移っていました。
貴金属は総じて軟調
下落は金だけにとどまりませんでした。スポット銀は3%安の1オンス=73.23ドル、プラチナは1.5%安の1,953.50ドル、パラジウムは2.1%安の1,445.50ドルまで下落していました。
こうした広範な軟調は、金固有のポジション調整だけではないことを示唆していました。ドル高基調に加えて中央銀行イベントリスクが市場の中心に戻るなか、投資家は貴金属全体でエクスポージャーを縮小していました。
銀が3%下落したことは、景気感応度の高い金属も圧迫されていることを示していました。プラチナとパラジウムは、エネルギー高によるコスト圧力が強まる一方で需要見通しが弱含めば、上値の重さが続く可能性がありました。
慎重な見通し
XAU/USDが4,688.75を下回り、さらに移動平均線ゾーンである4,733.44~4,739.66の下で推移する限り、金は上値の重い展開が続く可能性がありました。4,623.39を割り込む場合、下押しが深まり4,402.31方向への調整リスクが高まっていました。
4,701.34を上回れば目先の売り圧力は和らぐものの、上昇モメンタムを再構築するには4,739.66を終値で上回る必要があると見られていました。FRBがハト派寄りのトーンを示す、ドルが弱含む、あるいは米国とイランの実質的な打開があれば、4,842.27方向への反発を支える可能性がありました。一方、FRBがタカ派的で、原油が110ドル超を維持し、外交が停滞する展開となれば、戻り局面でも売りが出やすい状況が続く可能性がありました。
トレーダーの質問
金が3週間ぶり安値まで下落したのはなぜでしたか?
トレーダーが原油高を起点とするインフレリスクと、中央銀行の政策判断を重視したためでした。
スポット金はGMT午前5時53分時点で1.1%安の1オンス=4,628.88ドルとなり、4月7日以来の安値水準となっていました。6月限のNY金先物も1.1%安の4,643.70ドルまで下落していました。
原油高が金の重しとなるのはなぜでしたか?
原油高は輸送・生産コストを押し上げ、インフレ圧力を長引かせる可能性があるためでした。
ホルムズ海峡の大半が閉鎖された状態が続くなか、原油は1バレル=110ドルを上回る水準で推移していました。原油高でインフレが粘着化すれば、中央銀行は利下げを先送りするか、引き締めを長期化させる可能性がありました。金は利息を生まないため、こうした環境では相対的に不利になりやすい状況でした。
金は依然として安全資産でしたか?
金は依然として安全資産でしたが、ドル高と金利見通しが強い局面では上値が重くなりやすい特徴がありました。
今回のケースでは地政学リスクは高止まりしていた一方、インフレ、FRB、ドルの動向も同時に意識されていました。その組み合わせにより、金は通常以上に金利リスクに敏感になっていました。
FRBは何をすると見込まれていましたか?
FRBは、水曜日に終了する2日間の会合で政策金利を据え置くとの見方が大勢でした。
金利決定自体は市場の想定範囲内となる可能性が高く、トレーダーはFRBのトーン、特に原油高起点のインフレへの警戒感と世界景気減速への見方のどちらが強いかに注目していました。
年後半にFRBが金を押し上げる可能性はありましたか?
FRBが利下げ余地を示唆すれば、年後半に金が下支えを取り戻す可能性がありました。
Marexのエドワード・メアー氏は、FRBは当面は金利を動かさない一方、世界経済が減速すれば第4四半期に利下げに動く可能性があると述べていました。利下げ見通しが強まれば、利回り資産の相対的な魅力が低下し、金の支援材料になり得ていました。
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