イランはパキスタンの仲介を通じ、まずホルムズ海峡の再開と戦争終結を優先する取引案を米国に提示した。核問題の協議(核開発をめぐる交渉)は、核分野で譲歩することへの国内の反発を避けるため、後回しにする考えだ。
イランのアッバス・アラグチ外相はパキスタンとオマーンで協議を行い、今後はモスクワでも協議が見込まれる。米国は現時点で提案に回答していない。
Market Setup And Diplomatic Timeline
計画では、まず米国の「封鎖」(通行や取引を妨げる措置)を解除する。これにより、米国が持つ圧力手段(交渉を有利にする材料)であるイランの「ウラン備蓄」(核燃料に使えるウランの保有量)や、「濃縮の停止」(ウラン濃縮=核燃料化の工程を止めること)をめぐる影響力が弱まる可能性がある。
エネルギー供給の混乱が続くなか、原油価格見通しは上方修正が相次いでいる。北海ブレント(国際原油の代表指標)が2026年末まで1バレル=90ドル超を維持するとの見方が強まっている。
6月限ブレント先物(将来の受け渡し価格をいま決める取引)は約92.50ドルで推移し、2025年に始まった封鎖による混乱の継続を織り込んでいる。この停止は、日量約2,000万バレルの輸送を事実上止め、供給ショック(供給が急減して価格が揺れる現象)となった。これは2022年のウクライナ侵攻後に見られた価格変動の大きさを想起させる。
とはいえ、米国が予想外に合意すれば、ホルムズ海峡の再開で価格は急落し得る。その備えとして、行使価格が遠いプットオプション(一定価格で売る権利)を低コストで買い、ヘッジ(損失を抑える保険)とすることが考えられる。これにより、米国の対イラン政策が急に融和的(強硬ではなく穏健)へ傾く局面での下落リスクを抑えられる。
Positioning For A Range Break
原油オプションの「インプライド・ボラティリティ」(市場が見込む予想変動率)が高いことは、市場が大きな値動きに備えていることを示す。さらに先週のEIA(米エネルギー情報局)の週間統計で、在庫減少が市場予想より大きかったことが、供給の逼迫(供給が足りず余裕がない状態)を裏付けた。ワシントン(米政府)やテヘラン(イラン政府)からの公式発表が次の方向性を決める主因となるため、注意深く見極める必要がある。いずれにせよ明確な反応が出れば、現在の値動きの範囲(レンジ)を大きく超える動きになりやすい。