メキシコの季節調整済み失業率は3月に2.8%へ上昇した。前期は2.7%だった。
季節調整済み失業率が3月に2.8%へ小幅上昇したことは、注目すべきシグナルだ。水準自体は依然として低いものの、労働市場のひっ迫が続いた局面からの転換点となる可能性がある。高金利の環境が景気を冷やし始めたことを示す、初めての具体的なデータとして受け止める。
この結果はメキシコ中銀(Banxico)の判断を難しくする。直近のデータでは、コアインフレ率(生鮮食品やエネルギーなど変動の大きい項目を除いた物価上昇率)が4%超で高止まりしている。Banxicoは、わずかな雇用の弱さと、目標を大きく上回るインフレの板挟みだ。このため、短期的に中銀が政策金利を維持しても、金利スワップ市場(将来の金利を交換する取引で、利下げ・利上げ観測が反映されやすい)は2026年後半の利下げをより強く織り込み始めると見込む。
メキシコ・ペソの強さは脆弱になりつつある。2025年に大きなテーマだったキャリートレード(高金利通貨を買い、金利差の収益を狙う取引)に支えられてきたが、米国との金利差が縮小する見通しが出れば、ペソ買いの持ち高(ロング)の巻き戻しが起き得る。今後数週間は、ペソ安への備えとして、USD/MXN(米ドル/メキシコ・ペソ)のアウト・オブ・ザ・マネーのコールオプション(現値から離れた権利行使価格で、低コストになりやすい買う権利)の購入を検討する。
失業率の上振れに加え、製造業PMI(購買担当者景気指数。50を上回ると景況感の拡大を示す)が51.5へ低下したことは、企業収益の逆風を示唆する。消費が弱まれば国内売上を圧迫し、IPC株価指数の先行きは見通しにくくなる。そこで、メキシコ株の下落に備えるヘッジ(損失を抑えるための保険)として、幅広い市場に連動するETF(上場投資信託)のプット(売る権利)の購入を検討している。