米ドルは金曜日、主要通貨に対して底堅く推移し、米ドル指数(DXY)は98.00台後半を維持した。米国とイランの緊張が強まる一方、投資家がリスクを取りにくい状況(リスク回避)が続き、DXYは週間で0.4%上昇する見通しとなった。
米大統領は今週、停戦を延長した。これに対し、イランはホルムズ海峡(中東の重要航路で、原油輸送の要所)を8週連続で閉鎖し、米軍はイランの港湾封鎖を継続した。和平交渉は停滞し、今週予定されていた次回協議の日程も決まっていない。
イランへの圧力強まる
木曜日、米大統領はSNSに、イランが和平合意に至るまでの猶予は限られていると投稿した。イスラエルは、米国が承認すればイランへの行動を強化するとした。
イランの副大統領エスマイル・サカブ・エスファハニ氏は、米国への報復を警告した。さらに、イランのエネルギー施設(石油・ガス関連設備)が攻撃対象になれば、湾岸の石油施設を攻撃する可能性があると述べた。
米国のピート・ヘグセス国防長官と、統合参謀本部議長のダン・ケイン氏は、東部時間午前8時(GMT12時)に「オペレーション・エピック・フューリー」に関する記者会見を予定している。米指標もドルを下支えした。4月のS&PグローバルPMI速報値(購買担当者景気指数:企業への調査から景気の強弱を早期に示す指数)は堅調な活動を示し、新規失業保険申請件数は緩やかに増加したものの、労働市場(雇用の需給環境)は底堅いことを示唆した。
取引への影響とポジション
ホルムズ海峡の閉鎖が続いている。ここは世界の原油供給の約2割が通過する要所であり、供給不安が意識されやすい。このため、原油先物(将来の価格をあらかじめ決めて売買する契約)で買い持ち(ロング)を検討する余地がある。ブレント原油のコールオプション(一定価格で買う権利。少ない資金で値上がりを狙える)も、軍事行動による供給ショックに備える手段となる。参考として、2025年に湾岸で地政学リスクが高まった局面では、ブレント原油は1週間弱で15%上昇した。
米ドル高は、安全資産志向(有事に相対的に安全とされる資産へ資金が移る動き)と米国内指標の堅調さに支えられている。直近の2026年3月の雇用統計では、雇用者数が21.5万人増と強い伸びを示した。資金が米国資産へ向かう状況が続く前提では、DXY先物(米ドル指数を対象とする先物)を買う、またはEUR/USD先物(ユーロ/米ドルの先物)を売るという選択肢がある。過去にも、紛争を背景としたリスク回避局面でDXYが90台前半から103超まで上昇した例がある。
紛争拡大の可能性が高いなら、株式市場の下落に備える必要がある。ナスダック100のプットオプション(一定価格で売る権利。下落局面の保険・利益狙いに使う)は、成長期待に敏感なハイテク株の下落(売り)へのヘッジ(損失を抑えるための取引)となる。同時に、金ETF(上場投資信託。株式のように取引所で売買できる投資信託)のコールオプションも、有事の金需要に加え、原油高によるインフレ(物価上昇)リスクが意識される局面で堅調になりやすい。