S&Pグローバル(S&P Global)の米総合購買担当者景気指数(Composite PMI、製造業とサービス業の景況感を合成した指数)は4月に52.0へ上昇し、前月の50.3から改善した。これは3月より民間部門(企業活動)の伸びが速まったことを示す。
4月の総合PMIが52となったことで、景気見通しは大きく変化した。50.3からの上昇は企業活動の加速を明確に示し、2025年後半に定着していた「低成長」という見方に反する内容だ。この想定外の強さを受け、景気減速の継続を前提に積み上げた守りのポジション(価格下落に備える投資姿勢)は見直す必要がある。
株価指数の取引では、今後数週間のS&P500に強気で臨むシグナルとなる。コールオプション(一定の価格で買う権利)を短期で買う、またはクレジット・プット・スプレッド(プットを売ってプレミアムを受け取り、別のプットを買って損失を限定する戦略)を組み、景気の勢い回復を取り込みたい。2026年1〜3月期のGDP成長率が1.1%と低調だったのに比べると、足元の景気が想定以上に温まりつつあることを示す。
ただし、強い景気指標は米連邦準備制度理事会(FRB)の判断を難しくする。消費者物価指数(CPI、消費者が買う品目の価格変化を示す代表的なインフレ指標)ではインフレが3.1%と高止まりしており、夏の利下げ観測は大きく後退する可能性がある。金利先物のSOFR(米国の短期金利の代表指標)やフェデラルファンド(政策金利)先物のオプションを使い、FRBが夏場も引き締め姿勢を続けるリスクに備える、またはその方向性に賭ける戦略が考えられる。
金融政策の不透明感は、ヘッドラインが良好でも市場の変動を高めやすい。VIX指数(S&P500の予想変動率を示す「恐怖指数」)は14近辺と低水準だが、2022年にはFRBの動きが読みにくくなる局面で30超まで急上昇した。タカ派(利上げ・引き締めに前向き)方向へのサプライズに備え、VIXのコールオプションを保険として割安に買っておくのは妥当だ。
景気拡大の恩恵を受けやすい景気敏感セクター(景気で業績が振れやすい分野)への資金移動も視野に入る。具体的には、2025年後半の減速局面で出遅れた鉱工業(インダストリアル)や金融セクターのETF(上場投資信託)で買い持ち(ロング)を検討したい。今回のPMI上昇が一時的ではなく新たな流れの始まりなら、これらのセクターが相対的に優位になりやすい。