日本の片山さつき財務相は木曜日、円の一方向の投機的な動きに対して、政府には目立たない形での外国為替介入(市場で円買い・ドル売りなどを行い、為替相場を動かそうとする公的措置)を実施する「自由な裁量」があると述べた。
片山氏はまた、中東情勢を慎重に注視していると指摘。当面はスタグフレーション(景気が弱いのに物価が上がる状態)リスクをそれほど懸念していないとも語った。
さらに、為替を巡り日米の当局者が緊密に連絡を取り合っていると説明。過去の為替介入はその都度、市場に影響を与えたとも述べた。
円相場は発言に目立った反応を示さなかった。ドル/円は0.16%高の159.75円近辺で推移し、ドルが相対的に強かった。
政府は、ドル/円が170.00円水準(数十年ぶりの水準)に近づく中、介入に「自由な裁量」があるとの姿勢を改めて示している。2024年から2025年にかけても同様の口先警戒(当局が発言で市場をけん制すること)が繰り返され、その後に急激で突然の値動きが起きた局面が多かった。こうした従来型の発言は、当局が目立たない介入(市場が介入と気づきにくい形で行う介入)に踏み切るリスクが高いことを示している。
この環境は、金利差(米国と日本の政策金利の差。通常は金利が高い通貨が買われやすい)により円安圧力が続いていても、オプション取引の参加者にとって対応を検討しやすい局面となる。実際、2024年後半の介入は円の下落を止めたものの効果は一時的で、その後ドル/円の上昇基調は再開した。日本外国為替市場委員会の統計によれば、ドル/円のデリバティブ取引(先物やオプションなど、元となる資産の価格に連動する金融商品)の1日当たり取引高は直近四半期で15%増加し、ヘッジ(価格変動リスクを抑える取引)や投機が強まっていることを示している。
こうした状況では、短期のアウト・オブ・ザ・マネーのプット(特定の期日までにあらかじめ決めた価格で売る権利。権利行使価格が現在の市場価格より不利な水準にあるもの)をドル/円で買い、急落への備えとする戦略がコスト面で有利になり得る。1カ月物のインプライド・ボラティリティ(オプション価格から逆算される「予想される値動きの大きさ」)は年初来の9%から12.5%へ上昇したが、1日で5〜7円下落する可能性を十分に織り込んでいないとの見方もある。この程度の動きは、過去に当局が行動した後に見られた急落と近い。
一方、介入による急落が起きた場合、それを買い場と捉える見方もある。過去の介入は長期トレンドを反転させるには至らなかったためだ。金利差を利用して高金利通貨を買うキャリートレード(低金利で資金を借り、高金利通貨に投資して金利差収益を狙う取引)の環境はなお続いており、日本銀行の政策金利は0.5%にとどまる一方、他の主要中央銀行の金利はより高い水準にある。こうした前提から、ドル/円が162〜164円のサポートゾーン(相場が下げ止まりやすいと市場がみる価格帯)に戻れば、買いポジション(上昇を見込んだ持ち高)を検討する参加者も出やすい。