豪ドルは23日、対米ドルで小幅安となり、AUD/USDは0.7150近辺の狭いレンジで推移した。豪州の企業景況感を示す調査は改善したものの、米国とイランの和平協議は進展が限られているとの見方から、市場心理は悪化した。
豪州で発表された4月のS&PグローバルPMI(購買担当者景気指数、企業の受注・生産・雇用などのアンケートを指数化した景気の先行指標)の速報値では、製造業が49.8から51.0に上昇し、拡大(50超)に復帰した。サービス業も3月の46.3から50.3へ改善した。一方、需要の弱さとコスト上昇が先行きの重しとなった。
中東では、イランがホルムズ海峡で船舶2隻を拿捕(だほ:当局が船を拘束すること)したと発表した。米軍は22日、インド洋上で少なくともイラン船籍の石油タンカー3隻の位置を変更させた。
今週予定されている第2回の和平協議を巡る新たな材料が乏しい中、停戦が維持されるかへの懸念が強まっている。これにより、豪ドルのような「リスクに敏感な資産」への需要が弱い状態が続いている。
23日後半には、米国で新規失業保険申請件数(週次の雇用指標)とS&PグローバルPMI速報値が発表される。申請件数は小幅増が見込まれ、製造業・サービス業はいずれも拡大が予想されている。
ホルムズ海峡での船舶拿捕を受け、北海ブレント原油先物は今週4%超上昇し、1バレル97ドルを上回って推移している。2019年の同様の緊張局面では、エネルギー・為替市場で急で予測しにくい値動きがみられた。こうした状況を背景に、AUD/USDの1カ月物インプライド・ボラティリティ(オプション市場が織り込む将来の変動率)は、数日で8.2%から9.8%へ上昇し、オプション(将来の一定期限までに一定価格で売買する権利)の価格は割高になっている。
投資家心理が不安定な中、AUD/USDのプット・オプション(下落に備え、あらかじめ決めた価格で売る権利)の購入は、0.7100のサポート(下値の目安)を割り込む局面に備える現実的な手段となる。地政学リスクが悪化した場合に下落分の利益を狙える一方、最大損失は支払ったプレミアム(オプション代金)に限定される。安全資産としての米ドル高が進む可能性に、損失上限を明確にして乗る方法だ。