イラン情勢リスクあるも、天然ガス相場は軟調でした

    by VT Markets
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    Apr 5, 2026

    要点

    • 米天然ガス先物はMMBtu当たり約2.84ドルで推移し、依然として2025年8月以来の安値圏に近い水準でした。
    • EIAは3月27日締め週の在庫が36Bcf増と報告し、同週の過去5年平均が4Bcf減であったのと対照的でした。
    • 中東情勢の緊張は原油・LNGのリスクを押し上げていましたが、米ガスは国内需給の緩さが続き、輸出基地も既に能力上限に近い運転であるため、下支えは限定的でした。

    米天然ガスは反発を試していましたが、全体の地合いは軟調でした。NG-Cは2.893で、0.035(+1.22%)上昇し、相場全般はMMBtu当たり2.84~2.89ドル近辺でした。小幅高となっていましたが、先物はなお2025年8月以来の弱い水準の近辺にとどまっていました。

    主因は春の天候でした。気温が穏やかで暖房需要が減少する一方、市場は冬場の取り崩しから補充局面へ移行しており、需要の弱さが地政学的な上乗せ分の相当部分を抑え込んでいました。

    目先は、天候が一段と暑くなるか、供給がより明確に引き締まらない限り、重い需給が続きやすいとの慎重な見方が優勢でした。

    貯蔵統計が需給の緩さを示唆

    直近の貯蔵レポートは弱気地合いを裏付けていました。稼働在庫(working gas)は3月27日締め週36Bcf増となり、在庫水準は1,865Bcfでした。同週については、過去5年平均では4Bcfの取り崩しでした。

    この対比が要点でした。季節要因としては通常、なお貯蔵からの取り崩しが見込まれる時期でしたが、現状では既に在庫が積み上がっていました。足元の需要を供給が十分に上回っていることを示し、価格の上値を抑える要因となっていました。

    そのため、エネルギー市場全体の緊張が続く局面でも、天然ガスは上昇が続きにくい状況でした。

    イランリスクの影響は原油よりヘンリーハブで限定的

    地政学リスクは依然として無視できないものでした。トランプ氏は、ホルムズ海峡が再開されない場合に米国がイランのインフラを攻撃する可能性があると警告し、原油および世界のLNG市場は神経質になっていました。

    一方でヘンリーハブは異なる反応でした。原油はホルムズ海峡に直接的に曝露していましたが、米天然ガスは国内生産が潤沢で、LNG輸出基地も既に実務上の能力上限に近い稼働であるため、影響は相対的に小さかったでした。

    世界的なガス供給ショックはセンチメントを押し上げ得る一方で、輸出システムが既にほぼフル稼働の状況では、米国からの輸出を大幅に増やす余地を自動的に生むものではなかったでした。

    このため、国際市場のひっ迫が米国ガス価格へ波及する力は限定的でした。

    戦争関連ヘッドラインで短期的な上振れはあり得るものの、持続には国内需給の引き締まりを示すシグナルが必要との慎重な見通しでした。

    輸出制約が上振れ余地を抑制

    上値を抑えていたのは輸出の上限でした。ホルムズ回廊の混乱は、世界の原油・石油製品・LNGの物流の大きな部分を脅かし、国際ガス価格を支えやすい要因でした。もっとも、液化能力が既に上限に近いなかで、米天然ガスはその上昇余地を十分に取り込めない状況でした。

    有意な新たな輸出受け皿がない限り、海外需要の増加は原油のような急騰に直結しにくく、国内需給の方が海外の不安心理よりも重要度が高かったでした。

    この点で、米ガスは原油と異なる位置づけでした。原油は海上輸送ショックを直接材料視しやすい一方、天然ガスはまず天候・在庫・輸出のボトルネックで取引され、その上に小幅な地政学的プレミアムが上乗せされる構図でした。

    テクニカル分析

    天然ガス(NG)は2.89近辺で推移し、年初の高値5.69から急落した後、方向感を欠くなかで直近安値圏の上で小動きでした。値動きは総じて落ち着いており、直近のローソク足は反発の弱さと、持続的な買い意欲の乏しさを示していました。

    足元の安値である2.83~2.84近辺は当面下支えとなっていましたが、大局では戻り高値・安値ともに切り下がる展開が続き、下押し圧力が残っていました。

    テクニカル面では弱気トレンドが維持されていました。価格は主要移動平均線を下回り、5日線(2.90)10日線(2.95)が当面の上値抵抗となり、20日線(3.08)も下向きを保ち、基調の弱さを補強していました。直近安値圏での値幅圧縮は保ち合いを示唆していましたが、明確な反転シグナルが乏しいなかでは、下落トレンド途中の休止局面に近いとみられていました。

    注目水準は以下でした。

    • サポート:2.84 → 2.80 → 2.70
    • レジスタンス:2.95 → 3.10 → 3.40

    目先は、直近のサポートとなっていた2.84のすぐ上での保ち合いでした。このゾーンを明確に割り込む場合、2.80、さらに売りが加速すれば2.70方向への下押しが意識され得る状況でした。

    上方向では、まず2.95の回復が焦点でした。これを上抜ければ3.10近辺までの短期戻りが見込まれる一方、3.40近辺を上抜けて定着しない限り、上昇は調整色が強いとみられていました。

    総じて天然ガスは弱気圧力が持続し、戻りの鈍さと断続的な売りが構造を規定していました。買い方が主要レジスタンスを奪回できない限り、バイアスは下方向に傾いたままで、現水準での保ち合いの後に次の方向性が出やすい局面でした。

    今後の注目点

    次の一手は海外ヘッドラインよりも国内需給に左右されやすい局面でした。まず天候見通し、次いでEIAの次回在庫統計、さらにLNG向けフィードガス(パイプライン供給)フローの変化が注目材料でした。

    増加幅が平年を大きく上回る注入が続けば、原油や世界のLNGが不安定でも、相場は安値圏に押し付けられやすい状況でした。高温予報の強まりや生産減で需給が締まる場合、天然ガスは2.84~2.89ドルのレンジから持ち直す余地がある一方、穏やかな天候が続き早期の在庫積み上げが継続するなら、相場は直近の下値目安である2.837近辺に張り付く可能性があるとみられていました。

    トレーダー向けFAQ

    イランリスクがあるなかで、なぜ米天然ガスは弱いのですか?

    米天然ガスは中東情勢よりも国内ファンダメンタルズで動きやすいでした。穏やかな天候で暖房需要が減り、在庫が例年より早く積み上がり、さらにLNG輸出能力がほぼフル稼働であることが、リスクプレミアムを抑えていました。

    価格が2025年8月以来の安値圏にある主因は何ですか?

    最大の要因は需給の緩さでした。冬場からの移行局面で天候起因の需要が弱いなか、在庫は取り崩しではなく増加に転じていました。

    最新の在庫統計の内容はどうでしたか?

    EIAの最新データでは、3月27日締め週36Bcfの注入(増加)となり、同期間の過去5年平均は4Bcfの引き出し(減少)でした。例年より大幅に緩い結果でした。

    なぜ36Bcfの注入が重要なのですか?

    供給が需要を十分に上回っていることを示していたからでした。この時期は通常、在庫はなお取り崩しか、積み上げるとしてもより緩やかになると見込まれやすいでした。

    なぜ天然ガスは原油のように上昇しないのですか?

    原油はホルムズ海峡の混乱リスクに直接さらされていました。一方、米天然ガスは国内生産が強く、LNG輸出基地も稼働がほぼ上限であるため、影響は相対的に小さいでした。世界的なガスひっ迫はセンチメントを支える一方で、米国に無制限の追加需要をもたらすものではなかったでした。

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