韓国の国内総生産(GDP、国内で生み出されたモノやサービスの付加価値の合計)は第1四半期に前年同期比3.6%増となった。
同期間の市場予想(2.7%増)を上回った。
予想を超えるGDP成長は、韓国の短期的な金融政策見通し(中央銀行が金利や資金供給で景気・物価を調整する方針)を大きく変える。これまで第3四半期までの利下げ(政策金利を引き下げること)を一定程度見込んでいたが、今回の強い結果により実現可能性は低下した。韓国銀行(BOK、韓国の中央銀行)は、明確な景気の強さを踏まえ、政策運営の道筋を見直す必要がある。
現在、金利スワップ(将来の金利支払いを交換し、金利見通しを反映する取引)では、2026年末までのBOK利下げ観測が後退している。BOKがインフレ(物価の持続的上昇)抑制のため2025年を通じて政策金利を3.50%に据え置いた後、今回の成長の上振れは、現時点で緩和(金融引き締めを弱めること)する理由が乏しいことを示す。従来の想定より「高金利が長く続く」ことを見込むポジションに妙味がある。
為替市場では、中央銀行がより緩和的(ハト派、利下げや金融緩和に前向き)な通貨に対して、韓国ウォンに強気(上昇を見込む)の見方を後押しする。米ドル/ウォン(USD/KRW)は今年、1,350台から足元で1,310近辺まで下落しており、ウォンのコールオプション(将来、あらかじめ決めた価格でウォンを買う権利)が選好されやすい。今回のデータは、姿勢が堅いBOKと、夏の利下げの可能性を示唆し続ける米連邦準備制度理事会(FRB、米国の中央銀行)との政策の差を拡大させる。
株式では、堅調な景気を背景にKOSPI指数の初期反応はプラスになり得る。ただし、利下げの先送り観測は、株価の割高・割安を測る指標であるバリュエーション(株価収益率など)の上昇余地を抑えやすく、とくに金利動向に敏感な成長株(将来の利益成長への期待で買われる株)、なかでもハイテク株には重しとなる可能性がある。KOSPI200先物(KOSPI200を対象に将来の価格で売買する取引)で上放れの兆しを点検しつつ、金利を巡る不安定さに備えるヘッジ(損失を抑えるための取引)としてプットオプション(将来、あらかじめ決めた価格で売る権利)も検討したい。