NZD/USDは水曜日、ほぼ横ばいで推移した。ニュージーランド準備銀行(RBNZ、中央銀行)が利上げに前向きな見通し(タカ派=インフレ抑制のため金利を上げやすい姿勢)を示したことで、ニュージーランドドルは主要通貨に対して強含んだ。NZD/USDは0.5906近辺で取引され、日中で0.23%高となったが、ホルムズ海峡を巡る米国・イランの緊張で投資家がリスクを取りにくい状況(リスク回避)となり、上値は抑えられた。
米ドルは停戦延長後も地政学リスクへの警戒で下支えされた。米ドル指数(DXY=主要通貨に対する米ドルの総合的な強さを示す指数)は98.58近辺と、1週間ぶり高値圏で推移した。
Rbnz Expectations And Inflation Pressures
市場ではRBNZの追加利上げ観測が強く、最新のインフレ指標を受けて「早ければ5月にも利上げ」と見る向きもある。インフレ率は中銀の目標レンジ(1%〜3%)を上回っており、原油高も物価を押し上げる要因(上方圧力)になっている。
米国とイランの協議が再開するかどうかに注目が集まっている。米海軍が海上封鎖(艦艇で航行を制限する措置)を継続しており、イラン側は「停戦合意に反する」と主張している。ドナルド・トランプ氏は「早ければ金曜日にも協議の可能性がある」と述べた一方、イランのタスニム通信は「テヘランは参加を決めていない」と報じた。
またイランはホルムズ海峡での動きに言及し、イスラム革命防衛隊(IRGC)が水曜日に船舶2隻を拿捕(だほ=取り押さえて拘束)したと発表した。緊張の長期化とエネルギーコスト上昇により、米連邦準備制度理事会(FRB)が近く利下げするとの見方が後退し、米ドルを支えている。
NZD/USDを取り巻く環境は、相反する材料が同時に作用する構図だ。RBNZは政策金利(オフィシャル・キャッシュ・レート=中銀が誘導する短期金利)5.50%を維持し、2026年1〜3月期のインフレ見通しも4.2%と高い水準にあり、NZドルの基礎的な支え(ファンダメンタルズ要因)となっている。一方で、南シナ海を巡る地政学的緊張の高まりを背景に、米ドルが「安全資産」(不安定な局面で買われやすい通貨)として強含み、NZドル高を打ち消している。
Volatility Strategies Versus Range Trading
こうした綱引き局面では、明確な方向感に賭けるよりも、価格変動の大きさ(ボラティリティ)に着目する方が現実的になりやすい。NZD/USDのオプションで示される予想変動率(インプライド・ボラティリティ=市場が織り込む今後の値動きの大きさ)はこの1カ月で15%超上昇しており、不確実性の強さを反映する。たとえばロング・ストラドル(同じ権利行使価格のコールとプットを同時に買う)やロング・ストラングル(異なる権利行使価格のコールとプットを買う)は、上下どちらかに大きく動けば利益になりやすく、方向を当てる必要が相対的に小さい。
2019〜2020年にも似た局面があり、国内景気見通しが強かったにもかかわらず、ホルムズ海峡を巡る米国・イランの緊張がNZドル高を抑えた。当時は数週間にわたり相場がもみ合った後に急変動が起き、方向ではなく変動拡大を見込んだ参加者が報われた。国内の金融政策と世界的なリスク要因が拮抗する状態は、じりじりとした動きのまま終わりにくい。
一方、相場が概ね0.6050〜0.6250のレンジ(一定の値幅)に収まると見るなら、オプションのプレミアム(オプション価格)の売りが有利になり得る。たとえばアイアン・コンドル(上下に離れたコールとプットを組み合わせ、一定の範囲内なら利益になりやすい構成)を使えば、想定レンジを決めた上で、その範囲内で推移する限り収益を狙える。これは時間価値の減少(タイム・ディケイ=満期に近づくほどオプションの時間価値が減ること)を利用する。
原油価格は海上の緊張を背景に1バレル=90ドル近辺で推移しており、世界的なインフレ懸念を強め、FRBの金融政策見通しを難しくしている。これが慎重な市場心理を補強し、米ドルの下支え要因(買い需要)となるため、NZドルの単純な買い持ち(ロング)はリスクが高い。NZドル高に賭ける場合でも、NZD/USDのアウト・オブ・ザ・マネーのプット(現状価格より下の権利行使価格の売る権利)を買うなど、急なリスク回避の強まりに備えたヘッジ(損失を抑える手当て)を検討したい。