カナダの新築住宅価格指数は3月、前年同月比で2.3%下落した。前回(下落率2.1%)から下げ幅が拡大した。
統計は、新築住宅価格が前年から下落基調にあることを示す。下落率が-2.1%から-2.3%へ広がったのは、3月の前年比の下げがやや加速したことを意味する。
新築住宅価格指数の前年比-2.3%という下落が続いていることは、主要な景気分野で弱さが強まっていることを示唆する。これによりカナダ銀行(中央銀行)には追加の対応圧力がかかりやすい。カナダ統計局の最新報告では、3月のCPI(消費者物価指数=家計が購入するモノ・サービスの平均的な値動き)が1.9%まで低下し、中銀が重視する2%目標をわずかに下回った。中銀の軸足が「物価上昇を抑える」から「景気を下支えする」へ移りつつあるサインとみられる。
その結果、今後の中銀発信はよりハト派(利下げや金融緩和に前向き)寄りになりやすい。市場では、OIS(翌日物金利スワップ=将来の政策金利見通しを織り込む取引)で、7月会合に0.25%ポイント(25bp)の利下げ確率が70%超まで織り込まれている。25bp(ベーシス・ポイント)とは、金利の単位で0.01%を1bpとするため、25bpは0.25%を指す。
利下げ観測はカナダドルの重しとなっている。USD/CAD(米ドル/カナダドルの為替レート。上昇はカナダドル安)もこの見方を反映し、先週は1.38を上回った。背景には、米連邦準備制度理事会(FRB)との政策金利の差(政策ギャップ)が拡大するとの見方がある。カナダドル安が進む局面に備える手段としては、USD/CADのコール・オプション(将来、あらかじめ決めた価格で買える権利)を行使価格1.40で購入するなどが選択肢となる。行使価格(ストライク)1.40は、1米ドル=1.40カナダドルで買える権利を意味する。
株式市場は、利下げは追い風となる一方、景気の弱さが重石で、見通しは割れやすい。iShares S&P/TSX 60 Index ETF(XIU)のオプションでは、IV(インプライド・ボラティリティ=オプション価格から逆算される「市場が見込む将来の値動きの大きさ」)が3カ月で高水準となり、不透明感を示している。この環境では、大きな値動きで利益を狙う取引として、ロング・ストラドル(同じ行使価格・同じ満期のコールとプットを同時に買い、上にも下にも大きく動けば利益を狙う戦略)を広範な市場ETFで組む手法が有効となり得る。