
要点
- イラン関連のヘッドラインでUSOilの変動が続き、米コアPCEを前にインフレ期待が不安定になりやすい状況でした。
- USDXが98.38近辺で底堅く、SP500の金融環境を引き締め、BTCUSDもリスク資産のように取引されやすい状況でした。
- XAUUSDは、2025年に65%上昇し、1月高値から14%下落した後も、長期化する「準備資産のシフト」の流れの中で推移していました。
- 米小売売上高(1.4%予想、前回0.6%)と英CPI(3.3%予想、前回3.0%)が、コアPCE前の金利ムードを変え得る材料でした。
週初は見慣れた展開でした。リスク資産が安定を試みる一方で、再びエネルギーリスクが主導権を握りました。ブレントは約96.8ドルまで上昇し、WTIは90ドルを上回りました。ホルムズ海峡を巡る新たな緊張が意識されるなか、USDXも98.38へ上昇しました。
この組み合わせは、トレーダーが他の材料をどう解釈するかも変えました。原油相場の上振れはインフレ懸念を再び前面に押し上げ、インフレ指標が強めに出た場合に「利下げ期待の先送り」を正当化する材料として扱われやすくしました。
USOilが週央にかけて高止まりすれば、市場は「一過性のショック」よりも「根強いインフレ」を織り込みやすい状況でした。
金(ゴールド)は二つの力に同時に引っ張られていました
XAUUSDはヘッドライン主導の緊張局面では安全資産として機能しやすい一方、インフレ懸念が戻る局面では米金利上昇とドル高という現実とも向き合う必要がありました。このため、金は下支えされて見えても、一直線のブレイクアウトになりにくい構図でした。
より大きな流れが足元の値動きを規定していました。金は2025年に65%急騰し、史上最高値を53回更新、2026年1月には一時1オンス5,598ドルに達した後、足元では約4,795ドル近辺まで下落し、高値から約14%低い水準でした。
この規模の上昇は調整(リセット)を誘発しやすく、流動性が引き締まる局面では短期の売り手が速やかに出やすい市場環境を生みました。
準備資産としての買い(リザーブ需要)が維持される限り、XAUUSDは押し目で底堅さを保ちやすい一方、USDXが一段と強含む局面では上値が荒くなりやすい状況でした。
準備資産のシフトは水面下で続いていました
金がこの10年を象徴する取引テーマになったのは偶然ではありませんでした。中央銀行は2022~2024年に年1,000トン超を購入し、2025年も(2024年比21%減少したとはいえ)863.3トンを積み増しました。
2025年のペースでも、2010~2021年の年平均473トンを大きく上回る水準でした。
また金は、2025年後半に価値ベースで米国債を上回り、世界最大の準備資産となりました。
この背景は下落局面の受け止め方を変えました。準備資産の運用主体が戦略的資産として金を保持し続ける限り、調整は「敗北」ではなく「消化(揉み合い)」に見えやすい状況でした。
マクロのストレスが和らげば、構造的需要が消えていないため、XAUUSDは急落ではなく保ち合いになりやすい展開でした。
売りは広範な撤退ではなく、戦術的に見えました
足元の売りは、最大級の戦略保有主体全体で一斉に進むというよりも、当面の圧力が強い市場で集中的に観測されました。トルコの公式金保有は、イラン情勢の緊張の中でリラ安定化を図るため、スワップおよび現物売却を通じて3月に131トン減少しました。ロシアも財政負担に対応するため保有を圧縮しました。
この動きは単純な説明に沿っていました。金はバランスシート上で「流動性の高い価値」として位置づけられ、危機局面では資金調達手段になり得るためでした。
新興国で通貨ストレスが広がれば、戦術的な売りが断続的に出る可能性はあるものの、資金繰り圧力が和らぐと沈静化しやすい傾向でした。
調査結果は、公式準備の積み増し継続を示していました
調査ベースの見通しは引き続き追い風でした。ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の2025年調査では、回答者の95%が世界の公式金準備が増加し続けると見込み、前年の81%から上昇しました。
過去最高の43%が「今後12カ月で自国の準備が増える」と回答しました。さらに73%が「今後5年で米ドル準備の比率が低下する」と見込みました。
ETFフローも、上昇余地を残していました。世界の金ETF保有は今年これまでに700トン超の資金流入となりましたが、現在のサイクルは過去の強気相場のピークにはまだ届いていませんでした。
イラン情勢が不安定なまま推移し、インフレが粘着的であれば、週ごとに高値更新がなくても資金フローがXAUUSDを下支えし得る状況でした。
注目すべき主要シンボル
- XAUUSD
- USDX
- USOil
- SP500
- BTCUSD
今後の主なイベント
| 日付 | 通貨 | イベント | 予想 | 前回 | アナリストコメント |
| 20 Apr | CAD | CPI y/y | 2.30% | 2.30% | 落ち着いた結果なら、カナダドルは政策より原油に連動しやすい状況でした。 |
| 21 Apr | NZD | CPI q/q | 0.80% | 0.60% | 上振れなら、週末リスクを前にNZDの金利感応度が高まり得る状況でした。 |
| 21 Apr | USD | 小売売上高 m/m | 1.40% | 0.60% | 需要の強さは、コアPCEを前にインフレムードを強め得る状況でした。 |
| 21 Apr | USD | ウォーシュ氏証言 | – | – | タカ派寄りの含みがあれば、利回りを押し上げ、USDXを支え得る状況でした。 |
| 22 Apr | GBP | CPI y/y | 3.30% | 3.00% | インフレの粘着性が確認されれば、金利見通しは強含み、ポンドのボラティリティが上がり得る状況でした。 |
| 24 Apr | JPY | 全国コアCPI y/y | 1.70% | 1.60% | 上振れなら、日銀の正常化観測が意識され続ける材料でした。 |
今後の経済イベントを一覧で確認するには、VT Marketsの経済カレンダーをご参照ください。
今週の主な値動き
金(XAUUSD)
- 先週は、USDXが強含み、原油が急伸するなか、金スポットは4,809.71ドル近辺、6月先物は4,829.40ドル近辺で推移していました。
- インフレリスクがエネルギー関連ヘッドラインに結び付く間は、荒い値動きの中での持ち合いが基本シナリオでした。
- この取引は忍耐が有利になりやすく、USDXの強さは上昇を鈍らせ得る一方、準備資産需要は押し目を支え得る状況でした。
USDX
- ホルムズ海峡を巡る緊張再燃と原油高に伴い、98.38まで反発していました。
- 米小売売上高が前回の0.6%から予想の1.4%近辺に到達すれば、上昇の追随が出やすい状況でした。
- 最も分かりやすい確認手段はクロスアセットの反応でした。USDXが底堅い局面では、SP500とBTCUSDのリスク選好が細りやすい傾向でした。
SP500
- 安心感が続く局面では最高値圏の地合いが維持されましたが、原油が再び上昇すると弱含みました。
- より安定した上昇には、インフレ指標発表までにエネルギー価格が落ち着くことが必要でした。
- リスク資産はUSDXが上昇を止めると改善しやすく、ドル高が続くと上昇が脆くなりやすい状況でした。
BTCUSD
- USDXの上昇と原油リスクの再浮上を受け、暗号資産は下落しました。
- より明確な反発は、ドル安とインフレ警戒の後退がそろう局面で生じやすい状況でした。
- ポジショニングは、株式以外にもリスク選好が広がると改善しやすいため、USDXの方向性と併せてSP500の追随性を確認する必要がありました。
まとめ
今週は、原油主導のインフレリスクという同じ圧力点を繰り返し試す展開でした。ホルムズ海峡の緊張が続いて原油が高止まりすれば、トレーダーは強い経済指標を「利下げ期待の先送り」材料として評価しやすく、USDXを支える一方で、SP500とBTCUSDは下押しに敏感になりやすい状況でした。XAUUSDは、2025年の65%急騰と1月高値からの14%下落を経ても、準備資産シフトという長期テーマが続いているため、この環境でも底割れしにくい可能性がありました。序盤の焦点は米小売売上高(予想1.4%、前回0.6%)で、その後は月後半のコアPCEに向けてインフレ論争が深まる流れでした。
トレーダーの質問
中央銀行は本当に金から撤退しているのでしょうか?
データが示しているのは「購入ペースの減速」であり、大規模な撤退ではありませんでした。中央銀行は2025年も863.3トンを購入しており、2010~2021年平均の473トンを大きく上回っていました。
イラン情勢ショックの最中に、一部の国が金を売却したのはなぜでしょうか?
金は流動性が高く、バランスシート上で高値圏にあるためでした。トルコはリラ防衛のため、3月に保有が131トン減少しました。
今週、トレーダーが最も注視すべき点は何でしょうか?
USOil、次いでUSDX、その後にXAUUSDをコアPCEに向けて追うことが重要でした。原油とUSDXが同時に強含めば、相場は防御的になりやすい傾向でした。
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