GBP/USDは火曜日、米ドル高を受けて1.3515で取引された。米・イラン対立の激化を背景に、停戦合意が崩れる懸念が強まり、資金が「安全資産(リスク回避局面で買われやすい資産)」に向かったことで、ポンドには下押し圧力がかかった。
緊張の中心はホルムズ海峡だった。米国はイラン船舶を拘束したと発表し、イランは追加協議への参加を見送った。これが原油価格を押し上げ、同時にドル需要を支えた。
同通貨ペアは1.3600の抵抗線(上値が抑えられやすい価格帯)の直下で伸び悩んだ。この水準は0.618フィボナッチ・リトレースメント(過去の値動きに対する「押し戻し」の目安として使われる比率の一つで、0.618は代表的な水準)とも重なり、上値の壁として意識されやすい。
相場は「買われ過ぎ(短期的に上げが行き過ぎた状態)」とされるが、極端ではない。アジア時間序盤は1.3516のサポート(下値を支えやすい水準)近辺で推移した。
2025年初めにも、米・イラン対立をきっかけに安全通貨としてのドル買いが強まり、GBP/USDは同様の圧力を受けた。当時は地政学リスク(紛争など政治・軍事要因による市場の不確実性)を織り込む動きが主導し、1.3600の抵抗線の下で上値が重かった。ただし、こうした構図はいまや市場の主因ではない。
現在の焦点は、中央銀行の金融政策の「違い」に移っている。英国の2026年3月の最新インフレ指標は3.1%と高止まりし、イングランド銀行(英中央銀行)の目標を大きく上回った。一方、米国のCPI(消費者物価指数。家計が買うモノやサービスの価格変化を示す代表的なインフレ指標)ではインフレ鈍化がより速く進み、足元は2.5%となっている。
このデータは、英中銀が米連邦準備制度理事会(FRB。米国の中央銀行にあたる機関)よりも長く高金利を維持せざるを得ない可能性を示す。金利差(国ごとの金利の開き)は基礎的にポンド高・ドル安要因となる。その結果、相場は1.3850近辺まで大きく水準を切り上げている。
また、昨年の地政学リスクによる上乗せ分(リスク・プレミアム)も薄れた。WTI原油(米国産原油の指標価格)は1バレル85ドル前後で落ち着き、ホルムズ海峡情勢で急騰した局面からは低下している。GBP/USDの1カ月インプライド・ボラティリティ(オプション価格から逆算される「市場が見込む変動の大きさ」)も、2025年の混乱時に10%超だった水準から、足元では7.5%へ低下した。これは、オプション(将来の一定期間内に、あらかじめ決めた価格で売買する権利)の価格が相対的に下がり、市場が大きな値動きを見込みにくくなっていることを示す。
ボラティリティ低下とファンダメンタルズ(景気・物価・金利などの基礎条件)の強さを踏まえると、トレーダーは行使価格(権利を行使して取引する価格)が1.3900超のGBP/USDコール(上昇局面で利益になりやすい買う権利)を検討できる。この戦略は、ポンド高の恩恵を狙いつつ、最大損失(支払ったプレミアム=オプション代金)を明確にできる。さらに、ブル・コール・スプレッド(コールを買い、より高い行使価格のコールを売る組み合わせ。コストを抑える代わりに利益の上限ができる手法)で初期コストを抑える方法もある。