WTI(米国産の代表的な原油指標)先物は金曜日、1日で9.12%下落した後、約81.50ドルまで下落した。一時は90ドルを上回ったが、その後下げに転じ、日中安値は80.30ドルと、3月10日以来の安値となった。
この動きは中東関連の報道を受けたものだ。イランのアッバス・アラグチ外相は、レバノンでの停戦を受け、停戦期間中はホルムズ海峡(ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ、原油輸送の要衝)が商業船舶に対して全面的に開放されたと述べた。
ホルムズ海峡が再開
アラグチ氏は、イランの港湾・海事当局が設定する調整済みの航路(衝突回避や安全確保のための指定ルート)を使い、海上輸送が再開すると説明した。ドナルド・トランプ米大統領も海峡は通航可能だと述べた一方、米イラン間の取引(合意や交換条件の取りまとめ)が完了するまで、イランに対する海上封鎖(艦艇などで通航や輸送を制限する措置)は継続するとした。
この変更により、米イランの緊張が高まった後も海峡が閉鎖され続けるとの懸念が後退した。ホルムズ海峡は、世界の原油輸送にとって重要な航路だ。
INGは、海峡周辺の封鎖により、原油供給が日量約1,300万バレル(1日に市場へ出回りにくくなった供給量)が滞ったと推計していた。今回の再開表明を受け、市場の注目は停戦の期間と、米国とイランが航路を開放した状態で維持する条件に合意できるかへ移った。
地政学リスク・プレミアム(紛争リスクを織り込んで上乗せされていた価格分)が急速に解消したことで、原油オプションのインプライド・ボラティリティ(市場が見込む将来の価格変動の大きさを、オプション価格から逆算した指標)は今後数日で低下しやすい。CBOE原油ボラティリティ指数(OVX、原油オプションの予想変動率を示す指数)は、55近辺の高水準から年初来平均へ向けて低下する可能性がある。
目先の大規模衝突リスクが後退したことで、焦点は需給の実態に戻る。OPEC+(OPECにロシアなど主要産油国を加えた枠組み)は2025年12月に減産の継続を決め、2026年1-3月期の中国需要も予想より強かった。恐怖感による上振れは消えても、価格は70ドル後半で下支えされやすいことを示す。
ボラティリティ低下後のオプション戦略
この局面では、近く大幅に値上がりしていた下落への保険を売る動きが優位になりやすい。具体的には、権利行使価格が80ドルを下回るアウト・オブ・ザ・マネーのプット(現状より低い価格で売る権利で、下落時の保険として買われる)を売り、残るプレミアム(オプション料)を受け取る戦略が考えられる。ここ数週間見られた上昇方向のコール(買う権利)への極端な需要は消え、保有ポジションは時間価値の目減り(満期が近づくほど価値が減る性質)で価値が落ちやすい。
このパターンは2019年のサウジ施設へのドローン攻撃後にも見られ、供給不安が過大だったと確認されると、急騰は2週間ほどでほぼ巻き戻された。今回の9%下落も同様で、市場は「起こり得る混乱」ではなく「実際の供給フロー」に基づく均衡点を探りやすい。
今後の重要データは米エネルギー情報局(EIA)の週間在庫統計(在庫の増減で需給の強弱を測る指標)と、リアルタイムの船舶動向だ。2026年4月15日公表分で原油在庫が予想外に210万バレル減少した後だけに、ホルムズ海峡の通航再開がどれだけ早く在庫増加につながるかを確認する局面となる。Vortexaなどの企業による衛星データ(船舶位置情報から輸送量を推定)で、2025年後半に見られた日量約1,700万バレルの平均フローが実際に戻ったかを検証することが重要になる。
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