イランのアッバス・アラグチ外相は金曜日、レバノンで停戦が成立した後、ホルムズ海峡を通るすべての商業船舶の通航は、停戦期間の残りの間、全面的に開放されると述べた。船舶は、イランの港湾海事機関(Ports and Maritime Organisation)が定めた協調ルート(関係機関が事前に取り決めた安全な航路)を使用するとした。
米国のドナルド・トランプ大統領はSNS「トゥルース・ソーシャル」で、ホルムズ海峡は「全面通航(full passage)」が可能だと投稿した。一方で、米国とイランの「取引(transaction。合意や履行手続き全体を指す)」が「100%完了」するまで、イランに対する海上封鎖(naval blockade。軍艦などで海上交通を制限する措置)は続くとも述べた。また、多くの論点はすでに交渉済みであり、手続きは迅速に進むべきだとした。
報道を受け、米国株価指数先物は公表時点で0.8%〜1.2%上昇した。米ドル指数(DXY。主要通貨に対するドルの総合的な強さを示す指数)は97.70を下回り、2月下旬以来の低水準となった。日中では0.5%超下落した。
ホルムズ海峡の通航再開は、イランへの個別封鎖が残っても、原油価格に上乗せされていた地政学リスク分(地政学的な緊張による保険料のような価格上昇要因)を下げる方向に働く見通しだ。この重要な海上交通路を通じて、世界の1日当たりの原油供給の約5分の1が通過する。最近の緊張で、WTI原油先物(米国の代表的な原油先物)は2026年3月まで1バレル95ドル超で推移していた。原油安の恩恵を受ける戦略として、今後2〜3カ月で満期を迎える原油先物のプットオプション(下落時に利益が出やすい権利)の購入が選択肢となる。
今回のニュースは、市場全体の変動性(ボラティリティ。価格の振れやすさ)が低下するとの見方も強める。CBOEボラティリティ指数(VIX。S&P500の予想変動率を示し「恐怖指数」とも呼ばれる)は、足元の20台前半から低下する可能性がある。2025年春の一時的な緊張緩和局面では、VIXが2週間で約30%下落した。VIXやVIX連動ETF(上場投資信託)で、アウト・オブ・ザ・マネー(OTM。権利行使価格が現値から離れている)コールスプレッド(高い権利行使価格のコールを売り、低い権利行使価格のコールを買うなどの組み合わせ)を売る戦略は、平穏回帰を狙う手段になり得る。
エネルギーコストの低下は、今年市場の重しとなってきたインフレ懸念を和らげる。直近の2026年3月の消費者物価指数(CPI。消費者が購入するモノやサービスの価格変化を示す指標)ではインフレ率が3.1%と高止まりしているが、今回の展開は、米連邦準備制度理事会(FRB。米国の中央銀行にあたる機関)が今夏の利下げを検討する根拠を補強する可能性がある。これは株式の先行きを改善し、S&P500指数のコールオプション(上昇時に利益が出やすい権利)の買いが魅力的になり得る。
米ドルの下落は、リスク選好(risk-on。投資家が安全資産よりリスク資産を選ぶ姿勢)により、資金がドルのような安全資産から成長資産へ移ることが背景にある。DXYが97.70を割り込んだのは2026年2月以来で、重要なテクニカルの下抜け(チャート上の節目を割り込むこと)といえる。この流れは、通貨ETFのオプションを通じたドル売り(弱気)ポジションの構築を後押しする。