USD/IDRは金曜のアジア時間に大きく上昇し、17,185~17,190の過去最高圏に到達した。週間でも大幅高となる見通しで、上方向の地合いが続いている。
インドネシア・ルピアは、中東情勢を背景とした景気リスクで下落した。インドネシアは原油の純輸入国(輸入が輸出を上回る国)であるため、エネルギー価格の上昇が輸入コストと補助金負担を押し上げた。
地政学リスクの高まりは、債券・株式市場からの資金流出(海外投資家が売却して資金を引き揚げる動き)も招き、米ドルなどの安全資産(有事に買われやすい資産)に資金が向かった。これが過去1カ月のUSD/IDR上昇を支えた。
米ドル指数(DXY:主要通貨に対する米ドルの強さを示す指数)は、ホルムズ海峡をめぐる不透明感の中、2月下旬以来の安値からの反発を伸ばそうとした。一方、イスラエルとレバノンの10日間の停戦は、米国とイランの和平合意への期待を高めた。
この環境はリスク選好(投資家がリスク資産を取りやすくなる状態)を支え、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ観測の後退もあって、米ドル高の一段の進行を抑えた。短期的にはUSD/IDRの上値も抑えられる可能性がある。
USD/IDRは17,180を上抜け、過去最高値を更新した。これはルピアに強い下押し圧力がかかっていることを示す。トレーダーにとって、この強い上昇モメンタム(上昇の勢い)は、USD/IDRのコールオプション(将来、あらかじめ決めた価格で買う権利)を買い、ルピア安の進行に備える戦略が選択肢となる。状況は、2025年に16,800を初めて超えた際の急落局面に似ている。
主因は原油高だ。原油の純輸入国であるインドネシアにとって経済負担が大きい。昨年のデータでは、石油・ガスの貿易収支赤字は180億ドル超となり、地政学リスクによるエネルギー価格の上振れが続く場合、ルピアは影響を受けやすい。この構造的な弱さが、足元のトレンドが続く余地があるとみる根拠となる。
国内市場からの資本流出も目立つ。世界の投資家が米ドルの安全性を求める中、インドネシア10年国債利回りは今月7.8%を上回った。これは外国人投資家が保有債券を売却し、売却代金をルピアから外貨へ転換していることを反映する。こうした資金流出は米ドル需要を継続的に生み、為替を押し上げる。
一方で、この上昇を抑える要因もある。中東の緊張緩和への期待や、FRBの追加利上げの可能性低下だ。そのため、基本戦略はUSD/IDRのロング(買い持ち)としつつ、ブル・コール・スプレッド(コールを買い、より高い行使価格のコールを売ってコストを抑え、利益と損失の上限を設ける戦略)を使う手もある。上昇が続く場合の利益を狙いながら、急に上昇が止まった場合の損失を抑えられる。
インドネシア銀行(BI:中央銀行)による為替介入(相場安定のために外貨を売買すること)も想定する必要がある。BIは歴史的に通貨安定のため介入してきた。外貨準備(通貨防衛に使える外貨資産)は年初来で50億ドル超減少しており、ルピアを支えるためにドル売りを進めていることを示す。中銀が強く動けば、USD/IDRは急反落(短期間の大きな下落)する可能性があるが、一時的にとどまる公算もある。