ユーロ圏の2月の鉱工業生産は、1月比で0.4%増となった。生産水準は2025年の多くの月を下回った。
2026年初は、米企業による「前倒し調達(関税や供給不安を見越して、通常より早く輸入・在庫を積み増す動き)」が一服したことで弱含んだ。貿易の混乱は続き、需要や生産の構成に影響を与えている。
エネルギー価格が上昇し、3月以降、エネルギーを大量に使う産業(化学、金属、素材など)にコスト面の圧力が強まった。3月に始まった中東の戦争は、生産に追加の下押し圧力を与える見通しだ。
コスト上昇は、エネルギー多消費の生産者の競争力(他地域の企業と比べた価格面の強さ)を損なう可能性がある。紛争に伴う不確実性は、設備投資(工場・機械への投資)判断にも影響し得る。
一方で、一部の高付加価値分野(主に先端技術)では底堅さが続く可能性がある。総じて、ユーロ圏の鉱工業生産には下振れリスクが高まっている。
ユーロ圏の景気悪化は欧州中央銀行(ECB)にとっても難題となり、利上げ(政策金利を引き上げること)余地を狭める。景気の弱さと高いエネルギー価格が同時に進む局面は、通貨安(ユーロ安)につながりやすい。このため、先物(将来の売買価格を決める取引)やFXオプション(為替を将来の一定価格で売買できる権利)を用いて、ユーロ/ドルの下落を見込むポジション(売り持ち)を取ることは合理的に映る。