EUR/GBPは今月、狭いレンジで推移し、やや下向きの動きとなっている。ただし春が進むにつれ、この下落圧力は弱まり、同通貨ペアはじり高になりやすいと見られている。
3月以降、G10(主要10カ国)中央銀行の金融政策見通しを巡る市場の織り込みが変化し、欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(BoE)について、従来ほどの利上げが織り込まれなくなった。1年先まででは利上げ自体は織り込まれているものの、想定される引き上げ幅は3月時点より小さい。
EUR/GBPは秋にかけて0.88近辺へ上昇すると予想される。英国の成長鈍化懸念、政治リスク、そしてBoEの追加利上げ観測の低下が、英ポンドの重しになり得る要因として挙げられている。
5月には、イングランドの地方選挙に加え、ウェールズとスコットランドの議会選挙が行われる。英国景気の先行き悪化に伴う政治的な圧力も議論されており、こうした政治環境を踏まえると、来月にかけてポンドの買い持ち(ロング)を保有することには慎重になるべきだとされる。
中東の戦争終結への期待や、インフレへの影響が限定的になるとの見方も指摘されている。この状況で英国のGDP(国内総生産)指標が弱ければ、BoEの利上げ観測がさらに後退し、ポンド安圧力につながり得る。
春が進むにつれ、EUR/GBPにかかっていた足元の下落圧力は勢いを失いつつある。2025年の似た局面では、同通貨ペアはいったん安値を付けた後、時間をかけて上昇した。同様の動きが再現する可能性がある。これは、市場が英国とユーロ圏の景気見通しの相対差を見直し始めていることを示す。
背景の中心は、金融政策見通しの差(分岐)が広がっている点だ。2026年4月中旬時点の市場の織り込みでは、BoEの年内利上げは追加で1回程度にとどまる可能性がある。一方、ユーロ圏ではコアインフレ率(物価上昇率のうち変動が大きい項目を除き、基調を示す指標)が先月2.7%となり、インフレ圧力が根強い。これによりECBは相対的に引き締め姿勢を続けやすい。金利の先行き(利上げ・利下げの道筋)の差は、ユーロがポンドに対してじりじりと支えられる要因になり得る。
英国の経済指標も、ポンドに慎重な見方を裏付ける。最新統計では、2026年1〜3月期の英国経済成長率は0.1%にとどまり、予想を下回って基調の弱さが示された。この低成長では、BoEが追加で利上げを行う余地は小さく、ECBと比べても金融引き締めの継続余力は限られる。
政治面では、2025年5月の選挙前に見られた不透明感がポンドの重しになった点が参考になる。当時は政治リスクが意識され、投資家がポンドの買い持ちを避けた。足元でも同様の心理が強まりつつあるとみられるため、短期的な下押し局面ではEUR/GBPの買いを検討すべきだろう。