米国のNFIB中小企業楽観指数(全米自営業者連盟が公表する、中小企業の景況感を示す指数)は3月に95.8となった。市場予想の98.6を下回った。
中小企業の景況感の悪化は、景気に対する明確な警戒サインだ。中小企業は雇用の重要な担い手であり、慎重姿勢は今後の雇用統計や個人消費(家計の支出)の弱さにつながる恐れがある。市場の値動きが荒くなる可能性と景気減速に備え、戦略の見直しが必要になる。
ボラティリティ上昇シグナル
今回の結果は不透明感を強めており、CBOEボラティリティ指数(VIX=S&P500の予想変動率を示す「恐怖指数」)は足元で17近辺にある。年初に見られた低水準から上昇している。
デリバティブ(株価指数などを対象にした先物・オプションなどの金融商品)取引では、VIXコールオプション(VIX上昇で利益が出やすい買う権利)を買う、またはS&P500でストラドル(同じ期限・同じ権利行使価格でコールとプットを同時に買い、大きな値動きで利益を狙う手法)を使い、変動拡大に備える選択肢がある。
景気の影響を受けやすい景気敏感セクター(例:一般消費財=消費者の裁量支出、資本財・工業=製造業など)は逆風が想定される。これらのセクターに連動するETF(上場投資信託)に対してプットオプション(下落で利益が出やすい売る権利)を買うのは、リスク管理として有効になり得る。
一方、ディフェンシブ(景気が悪くても需要が比較的安定しやすい)セクターであるヘルスケアや公益(電力・ガスなど)では、キャッシュ・セキュアード・プット(現金を確保したうえでプットを売り、プレミアムを受け取りつつ、下落時は現物を割安に買う形になりやすい手法)の活用も検討余地がある。
米連邦準備制度理事会(FRB)は難しい判断を迫られている。直近のCPI(消費者物価指数=物価の上昇率を示す代表指標)ではインフレ率が3.5%と粘着的だ。NFIBの弱さは追加利上げの判断を一段と複雑にし、当面は金利を据え置く可能性を高める。
政策金利見通しでは、FF金利先物(米国の政策金利の将来水準を織り込む先物)に連動するデリバティブを注視したい。足元では第4四半期までに利下げの可能性が以前より意識されている。
2022年のようなインフレ主導の急激な悪化局面とは異なり、現在は指標の方向感がそろっていない。直近の雇用統計では新規雇用が28万人増と強い結果が出ている。明確な崩れよりも、景気の判断が難しい局面が続く可能性があり、レンジ相場(一定の値幅で上下を繰り返す相場)で利益を狙う戦略が相対的に有利になり得る。例えばアイアン・コンドル(上限と下限に複数のオプションを組み、価格が一定範囲に収まると利益が出やすい手法)は選択肢となる。