USD/JPYは159.85付近から小幅に反落し、火曜のアジア時間に下落した。159.00近辺まで下げたが、材料が強弱まちまちで、下げは続きにくかった。
米国とイランの和平協議は週末に決裂したが、市場は外交努力が続くとみている。JD・バンス米副大統領は「意味のある進展があった」と述べ、ドルの重しとなった。
政策の不透明感でドルに下押し圧力
ドルは、米国の物価上昇(インフレ)とFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策の先行きが見えにくいことから、3月上旬以来の安値を付けた。金曜発表の米指標では物価が約4年ぶりの大きさで上昇し、年内の利上げ(政策金利の引き上げ)観測に目が向いた。一方で、利下げ期待も一部に残っている。
円は、ホルムズ海峡周辺の不安定化に伴うエネルギー供給不安(原油の供給が滞り、価格が急騰するリスク)への懸念から、一定の買いが入りにくかった。トランプ米大統領は米海軍による封鎖が公式に始まったと述べ、接近するイラン艦艇は破壊すると警告。イランはペルシャ湾とオマーン湾の港湾を脅す姿勢を示した。
日本は中東からの原油輸入への依存度が高く、短期的な景気への負担が意識される。これが円高を抑え、USD/JPYの大きな下落を限る可能性がある。加えて、日本当局による口先介入(発言で相場に影響を与えようとする動き)への警戒は、さらなる円安にも歯止めとなり得る。
エネルギー急変と市場への影響
昨年のホルムズ海峡での米海軍封鎖は深刻なエネルギー急変を招き、北海ブレント原油は一時1バレル=145ドル超まで急騰した。その後、外交ルートにより目前の危機は和らいだものの、原油は高止まりしている。WTI(米国産原油の代表的な指標)は足元で95ドル前後で推移しており、日本のようなエネルギー輸入国には重い。エネルギー高の継続は円の大きな重しとなっている。
2025年のインフレ急騰でCPI(消費者物価指数)が7%超まで上昇したことを受け、FRBは市場の想定以上にタカ派(インフレを抑えるため利上げに前向きな姿勢)を強めた。FRBはその後、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利を6.00%まで引き上げ、物価上昇率は2026年3月時点で4.1%とされる。高金利環境はドルの下支えとなる。
その結果、USD/JPYは現在162.50近辺で推移し、昨年の水準を大きく上回る。日銀がマイナス金利政策を解除した一方、政策金利は0.10%にとどまり、日米金利差(米国と日本の金利の差)が非常に大きい。ドルを保有し円を売ることで金利差の収益を狙う「キャリートレード」が、相場を押し上げる主因となっている。
今後数週間は、この大きな金利差を背景にした取引を意識しつつ、日本当局の介入(実際に円買い・ドル売りを行い相場を動かす行為)や警告発言に注意が必要だ。たとえば、円高に当たりにくい水準のJPYコール/USDプットの売り(円を買う権利=コール、ドルを売る権利=プットを売って保険料に相当するプレミアムを得る方法)は、重要な下値支持線を大きく割り込まない前提の戦略として考えられる。別案として、USD/JPYのブル・コール・スプレッド(買いコールと売りコールを組み合わせ、利益と損失の範囲を限定する方法)なら、リスクを限定しつつ165.00方向への上昇で収益機会を狙える。