EUR/USDは月曜に100pips超上昇した流れを引き継ぎ、火曜のアジア時間も上げ幅を拡大した。8日続伸となり、1.1765~1.1770付近まで上昇し、3月上旬以来の高値を付けた。
週末の和平協議が不調に終わった後も、市場はイランを巡る追加の外交努力への期待から、相対的にリスクの高い資産(株式など)へ資金が向かった。米国のJD・バンス副大統領は「突破口はないが有意義な進展があった」と述べ、米ドルの重しになった。
ドル安とリスク選好
米連邦準備制度理事会(FRB)の今後の利下げ・利上げ(政策金利の変更)を巡る不透明感も、ドルを3月上旬以来の安値近辺に押しとどめた。一方、ホルムズ海峡(中東の重要な海上輸送路)を巡る航行リスクが、リスク選好を抑えた。
ドナルド・トランプ米大統領は、水路の米海軍による封鎖が始まったと述べ、周辺海域のイラン艦艇への対応も示唆した。イランは、ペルシャ湾とオマーン湾の全ての港を標的にし得ると警告し、緊張は高止まりした。
現在の停戦が崩れ、戦闘が再開する懸念はドルを下支えし、EUR/USDの買いを抑制した。それでも、直近の値動きは3月下旬の安値から続く上昇トレンド(高値・安値を切り上げる展開)と整合的だ。
オプション戦略と監視ポイント
足元のユーロ高は別の要因、主に欧州中央銀行(ECB)が従来よりも利上げに前向きな姿勢(タカ派)へ傾いたことが背景にある。最新データでは、ユーロ圏のコアインフレ率(エネルギーや食品など変動が大きい項目を除いた物価上昇率)が2026年3月時点で2.9%と高止まりし、市場では年内に少なくとも2回のECB利上げが織り込まれている。これに対し、FRBは金融引き締め(利上げによる景気抑制)をいったん止める姿勢を示している。
昨年の反転の記憶を踏まえると、上値余地を狙うにはオプション(将来の特定価格で売買する権利)を使った慎重な対応が有効だ。例えば、ECBの追い風を取り込むため、短期満期のEUR/USDコール(買う権利)を検討できる。ただし、急な「リスク回避」(投資家が安全資産へ逃避する動き)に備えるには、プット(売る権利)で保険をかける、またはコール・スプレッド(高い行使価格のコールを売ってコストを抑える手法)で損益を限定するのが妥当だ。とりわけ、インプライド・ボラティリティ(オプション価格に織り込まれた予想変動率)が8%前後と高めで推移している点は意識したい。