週末の和平協議が決裂した後、トランプ大統領が米東部時間(ET)10時からイランの港を封鎖すると発表し、米ドルは上昇した。市場では株式と債券が軟調となり、原油価格は上昇した。
米ドル指数(DXY、主要通貨に対するドルの強さを示す指数)は、アジア時間に付けた高値から上げ幅を縮小した。高値は99.2をわずかに上回る程度で、火曜日の停戦発表後に水曜日に付けた日中高値とほぼ同水準だった。
ドルの流れは依然として重い
ドルは強含んだものの、DXYの戻りは限定的だ。先週の急落を受け、足元の値動きは引き続き下向き(弱気)を示している。
値動きが大きく乱れていないのは、市場が封鎖の範囲や景気への影響を見極めようとしているためとみられる。原油高が長期化すれば世界の成長を損ない、湾岸からの供給が減る場合はアジアが最も影響を受けやすい。
最も大きく動いたのはエネルギーだ。北海ブレント原油は足元で1バレル115ドルを上回り、2年以上ぶりの水準となった。これによりCBOE原油ボラティリティ指数(OVX、原油オプションの価格変動リスク=不確実性を示す指標)が30%超に急騰し、オプション取引(将来の価格で売買する権利を使う取引)のコストが上がった。封鎖が続く限り、原油のコールオプション(上昇に備える買う権利)への需要は高止まりしやすい。
投資家が警戒すべき主なリスク
ドルは一時的に上昇したが、DXYは節目の100を上抜けできず、足元は99.5近辺で推移している。上昇が続かない状況は、ドルの大きな流れが下向きという見方を支える。緊張が和らげば反転が急になる可能性があり、ドルの買い持ちを大きく積み上げるのはリスクが高い。
株式市場の不安は明確だ。S&P500が下落する中、VIX(株式の不安度を示す指数)が18から24超へ上昇した。この環境では、指数プット(株価下落に備える売る権利)で保有株(ロング)を守ることが重要になる。ショート・ストラドル(同じ行使価格のコールとプットを売る手法で、変動の拡大に弱い)のように、変動性を売る取引は極めて危険で、緊張緩和が明確になるまで避けるべきだ。
世界の成長への悪影響は、湾岸からのエネルギー輸入への依存度が高いアジアで特に大きくなりやすい。原油輸入国の新興国が弱含む局面を想定した備えが考えられる。具体的には、国別ETFのプットを買う、またはインドルピーやタイバーツのような通貨を売る(ショートする)といった対応が挙げられる。