ニュージーランドドル(NZD)は、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)のブレマン総裁が「基調インフレ(物価の一時的な変動を除いたインフレ率)が再加速する場合、利上げを急ぐ可能性がある」とタカ派(金融引き締めに前向き)発言をしたことを受けて上昇した。市場の織り込み(市場価格に反映されている予想)では、年末までに利上げがほぼ3回と見込まれている。
ただし、この織り込みはニュージーランドの大きなマイナスの需給ギャップ(供給能力に対して需要が弱く、景気の余力が残っている状態)や、最近の潜在成長率(景気の基調となる成長率)を下回る成長が続いている現状と整合しにくい。OCBCはRBNZが利上げ(金融引き締め)を開始するのは2026年10〜12月期(4Q26)になるとみている。
Rbnz Policy Path And Nzd Risks
OCBCは、2026年10〜12月期(4Q26)に0.25%ポイント(25bp、bp=金利の単位で0.01%)の利上げを1回行い、政策金利(中央銀行が誘導する短期金利)を2026年末時点で2.75%に引き上げると予想する。NZDは豪ドルに対して相対的に弱含む(アンダーパフォームする)可能性が高いとされる。
また、NZDは原油高の影響を受けやすいとも指摘されている。米国とイランの協議決裂などを背景に原油が再上昇した場合、価格変動に敏感な通貨(ハイベータ通貨=リスク局面で動きやすい通貨)で、かつエネルギー輸入国のNZDには下押し圧力になり得る。
Trading Implications For Nzd Positioning
RBNZは利上げを2026年10〜12月期まで見送るとの見方だ。利上げは1回(0.25%ポイント)にとどまる想定であり、足元のNZD高は持続性に欠け、反落しやすい。
デリバティブ(金融派生商品)取引では、米ドルに対するNZDのプットオプション(期日までにあらかじめ決めた価格で売る権利)の購入が選択肢となる。市場の利上げ期待が後退してNZDが下落すれば利益を狙え、最大損失(支払ったオプション料)を限定しやすい。
NZDは豪ドルに対しても弱含みが続く可能性がある。豪州の主要輸出品である鉄鉱石価格が1トン130ドル超へ上昇する一方、ニュージーランドの主要輸出である乳製品価格は直近の競売(オークション)で軟化している。こうした輸出環境の差は、NZD安・豪ドル高の方向を後押ししやすい。
原油価格の上昇もNZDにとって大きな逆風となる。ブレント原油(国際指標の原油)が米国・イラン協議の決裂を受けて1バレル95ドル超で推移する場合、エネルギー輸入国であるニュージーランドの交易条件(輸出入価格の比率)悪化を通じて景気の重しとなり、複数回の利上げを前提とする市場の見方を弱める要因となる。