ファスナルは四半期決算で、1株当たり利益(EPS、発行済み株式1株あたりの利益)0.30ドルを計上した。市場予想の平均(コンセンサス)と一致し、前年同期の0.26ドル(特殊要因を除いたベース)から増加した。前四半期はEPS0.26ドルが見込まれ、結果も0.26ドルで予想通りだった。過去4四半期では、EPSが市場予想を上回ったのは1回にとどまる。
2026年3月期の売上高は22億ドルとなり、コンセンサスを0.04%上回った。前年同期は19億6,000万ドルだった。過去4四半期では、売上高が市場予想を上回ったのは2回。
株価は年初来で約22.5%上昇し、S&P500種株価指数(米国主要500社で構成される株価指数)が0.4%下落する中で大きく上回っている。足元の株価の動きが続くかどうかは、決算説明会での経営陣の発言内容に左右される可能性がある。
次の四半期の市場予想は、EPS0.33ドル、売上高23億ドル。今期(年度)通期の市場予想は、EPS1.24ドル、売上高90億2,000万ドルとなっている。ファスナルは「ザックス・ランク」2位(業績見通しなどに基づく投資判断の格付けで、数字が小さいほど相対的に良いとされる)。一方、インダストリアル・サービス(企業向けの保守・物流・調達支援などのサービス)業界の順位は、250超の業種のうち下位7%に位置し、上位半分は下位半分を2倍以上上回るパフォーマンスとされる。
ハドソン・テクノロジーズは未発表で、市場予想はEPS0.05ドル(前年同期比16.7%減)、売上高は5,706万ドル(同3.1%増)となっている。
直近の決算は市場予想通りだった。株価が大きく上がった後は、材料出尽くしで売られる「ニュースで売る(sell the news)」反応が起きやすい。すでに2026年に入って株価は22.5%上昇し、S&P500は下落しているため、当面の大きな上昇は一巡した可能性がある。オプション市場では、決算通過後に「インプライド・ボラティリティ(将来の変動の大きさに対する市場の織り込み度合いで、オプション価格に反映される)」が低下しやすく、オプションを買うより売る方が有利になりやすい。
ただし、産業セクター全体には弱さの兆しがある。例えば、3月のISM製造業PMIは49.8と、景況の分かれ目である50を下回った。PMI(購買担当者景気指数)は、企業の購買担当者への調査を基に製造業の景況感を示す指標で、50未満は縮小を示す。こうした状況は、インダストリアル・サービス業界が厳しい環境にあることを示唆し、ファスナルが堅調な四半期を示しても、今後の成長に逆風となり得る。
株式を保有している投資家にとっては、「カバード・コール(保有株を担保にコールオプション=買う権利を売り、プレミアム=受け取る手数料収入のようなものを得る戦略)」を検討しやすい局面だ。株価が今後数週間、横ばいで推移する場合でも、オプションのプレミアム収入を得られる。2025年4〜6月期に近い状況では、決算が概ね予想通りだった後に株価が約1カ月もみ合い、プレミアムを売った投資家が有利だった局面があった。