ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は月曜日、和平交渉が行き詰まったことを受け、ホワイトハウスの補佐官らがイランへの限定的な米軍攻撃を検討していると報じた。報道は、政府当局者および事情に詳しい関係者の話としている。
WSJによると、検討されている選択肢には、限定攻撃に加え、ホルムズ海峡の封鎖(通航を軍事的に止める措置)が含まれる。狙いは、交渉の膠着(こうちゃく:進展しない状態)を打開することだという。
同紙はまた、ドナルド・トランプ大統領が全面的な空爆作戦(大規模な爆撃)を再開する可能性にも触れたが、当局者は実現性が低いと述べた。地域の不安定化への懸念や、大統領が長期戦を好まない姿勢が背景にあるとしている。
さらに別の案として、短期の封鎖を行い、その間に米国が同盟国へ圧力をかけ、海峡通過の護衛任務(船舶を守りながら航行させる任務)を長期的に担う枠組みに移す構想も挙げられた。WSJは、意思決定の具体的な時期は示していない。
ホルムズ海峡をめぐる緊張が強まるなか、エネルギー市場には目先のリスクが生じている。世界の海上輸送原油のおよそ25%がこの要衝(チョークポイント:物流が集中し、遮断されると影響が大きい地点)を通過するため、封鎖や軍事行動が現実味を帯びれば、WTI(米国の代表的な原油指標)やブレント(北海産を基準にした国際指標)原油先物に対するコール・オプション(将来、あらかじめ決めた価格で買う権利)を買う戦略が意識されやすい。供給途絶リスクは、現時点の市場価格にまだ十分織り込まれていない可能性がある。
過去のショック局面を想起させる面もある。2019年には、サウジアラビアの石油施設への攻撃でブレント原油先物が1日で約20%急騰した。ホルムズ海峡の封鎖となれば、世界供給への影響はより大きく、かつ長期化し得るため、価格急騰で利益を得るデリバティブ(金融派生商品:原油などの価格から価値が決まる取引)への関心が高まりやすい。
こうした環境では、市場の変動率上昇に備える動きも強まる。VIX(株式の「恐怖指数」:S&P500オプションから算出される予想変動率)の上昇が意識され、2022年初の地政学リスク局面で30を超えたような動きが再び起きる可能性がある。トレーダーは、VIXのコール・オプション(VIXが上がるほど利益になりやすい買いの権利)や、S&P500など広範な株価指数に対するプット・オプション(将来、あらかじめ決めた価格で売る権利)で、下落(売り)に備えたヘッジ(損失を抑える保険)を検討し得る。
不確実性が高まる局面では資金が安全資産へ向かう。金は現在、1オンス=2450ドル近辺で底堅く、攻撃が始まれば高値更新が意識されやすい。金先物や、金価格に連動するETF(上場投資信託)に対するオプションを通じた強気(上昇期待)ポジションは、この「安全資産への逃避(フライト・トゥ・セーフティ)」の局面で恩恵を受けやすい。