カナダ統計局は、3月の失業率が6.7%で横ばいとなり、市場予想を下回ったと発表した。雇用者数(純増)は1万4,100人増となり、前月の8万3,900人減から反転した。
労働参加率(働く意思のある人の割合)は64.9%で変わらず。平均賃金の前年比伸び率は5.1%と、2月の4.2%から加速した。
市場の反応とカナダドルの重さ
発表後もカナダドルは上値が重い。USD/CADは1.3800を上回って推移し、200日単純移動平均線(過去200日の日次終値の平均で、中長期の方向感をみる目安)を試した。
労働市場の統計は景気の強さを測る指標で、為替レート(通貨の交換比率)の変動要因になりやすい。失業率の低下は家計の支出を支え景気を下支えする一方、人手不足は賃金を押し上げ、物価上昇(インフレ=モノやサービスの価格が広く上がる状態)につながりやすい。
賃金の伸びは政策当局が注目する。家計の購買力が高まり、支出を通じて物価に波及しやすいためだ。エネルギーなど特定品目の変動より、賃金を起点とするインフレは長引きやすいとみられている。
中央銀行は金融政策(政策金利の調整など)を決めるうえで、雇用や賃金のデータを材料にする。米連邦準備制度理事会(FRB)は雇用と物価の両面を重視し、欧州中央銀行(ECB)は物価の安定を中心に運営する。
売買への示唆と政策の不透明感
3月の雇用統計は、カナダ銀行にとって判断が割れる内容となり、市場の不透明感を強めている。失業率6.7%は景気減速を示す一方、賃金伸び率が5.1%へ急加速したことは、インフレ圧力が根強いことを示す。次回以降の政策金利判断は難しくなりやすい。