NZD/USDは金曜日、4日続伸後に0.5860近辺で小動きとなった。米ドルは、地政学リスクの高まりと米連邦準備制度理事会(FRB)の慎重な姿勢に支えられた。米国とイランの意思疎通の難しさ、軍事的な動き、ホルムズ海峡(中東の主要な原油輸送ルート)の先行き不透明感が投資家のリスク選好(積極的にリスク資産を買う姿勢)を弱め、ニュージーランドドル(NZD)の重しとなる一方で米ドルを押し上げた。
直近の米経済指標は底堅さを示した。ただし、新規失業保険申請件数(失業保険を初めて申請した人数)は市場予想以上に増加し、雇用市場にややブレーキがかかりつつあることを示唆した。地政学要因に伴う原油高はインフレ懸念(物価上昇への警戒)を強め、FRBの「金利を高水準で長く維持する」姿勢を後押しし、早期利下げ観測を後退させた。
ニュージーランドの政策環境
ニュージーランドでは、ニュージーランド準備銀行(RBNZ、同国の中央銀行)の判断後も状況は強弱まちまちだった。インフレ率(物価上昇率)は目標をやや上回る一方、国内景気は脆弱だ。このため、大幅な追加利上げへの期待は限られ、NZDの上値を抑えた。
4時間足チャートでは、NZD/USDは0.5863。20期間SMA(単純移動平均線。直近20本の平均値でトレンドをみる指標)の0.5791、100期間SMA(中期のトレンド判断に使われる平均線)の0.5779を上回った。14期間RSI(相対力指数。買われ過ぎ・売られ過ぎをみる指標)は75近辺。上値抵抗線(上昇を抑えやすい水準)は0.5868、0.5907、0.5930、0.5965。下値支持線(下落を止めやすい水準)は0.5854、0.5838、0.5831、0.5791、0.5779。
戦略とボラティリティ見通し
一方、ニュージーランド経済は弱さが目立つ。最新の四半期GDP成長率(国内総生産の伸び)は0.2%にとどまった。直近のANZ企業信頼感指数(企業の景況感を示す指標)も-15へ低下し、RBNZがNZDを支える余地は小さいことを示す。米国とニュージーランドの景気・金利見通しの差が広がるなか、通貨ペアには下押し圧力がかかりやすい。
この環境では、下落に備えてNZD/USDのプットオプション(一定の期日までにあらかじめ決めた価格で売る権利)を買う戦略が考えられる。相場が下落した場合に利益が出やすく、米ドル高の流れと整合的だ。権利行使価格(ストライク。売買価格としてあらかじめ定める水準)は0.5800近辺、満期(期限)は5月下旬〜6月が目安となる。
ただし、テクニカル指標が過熱感を示しており、短期的に上振れする可能性もある。リスク管理として、0.5950の上値抵抗線近辺でアウト・オブ・ザ・マネー(現時点で権利行使しても得にならない状態)のコールオプション(一定の期日までにあらかじめ決めた価格で買う権利)を売るのは一案だ。オプション売りで受け取るプレミアム(オプション代金)が、プット買いのコストの一部を相殺する。
2024年、2025年の過去局面では、同様の乖離局面で通貨のボラティリティ(価格変動の大きさ)が上昇しやすかった。インプライド・ボラティリティ(IV。オプション価格から逆算される市場の予想変動率)は高止まりが見込まれ、コラ―(プット買いとコール売りを組み合わせ、損益レンジを限定する戦略)やベア・コール・スプレッド(安いコール買いと高いコール売りを組み合わせ、下落・横ばいで有利になりやすい戦略)など、プレミアムを受け取る組成が相対的に有効になりやすい。これによりリスクを限定しつつ、下落基調を取り込みやすい。