アルゼンチンの鉱工業生産(季節調整なし)は2月、前年同月比8.7%減となった。前回の同3.2%減から悪化した。
この結果は、前期に比べて鉱工業生産の落ち込みが一段と大きくなったことを示す。前年より生産が弱いことを意味する。
鉱工業生産の減少幅が急拡大していることから、景気後退が深まっている強いシグナルとみる。この流れは企業収益と経済活動全体に対する圧力を強める。トレーダーはアルゼンチン資産を巡る弱気心理(下落を見込む見方)の強まりに備える必要がある。
景気悪化はアルゼンチン・ペソ(ARS)に下押し圧力をかける公算が大きい。通貨の追加切り下げ(対外価値の下落)が進むと見込み、ARSのショート(下落を狙う売り持ち)に妙味がある。具体的には、ARS先物(将来の売買価格をあらかじめ決める取引)を売る、またはプット・オプション(所定価格で売る権利)を買い、米ドルに対する下落を狙う手段が考えられる。
この鉱工業の落ち込みは、主要構成銘柄に工業企業が多いメルバル株価指数(Merval)に直接響く。メルバル指数、またはアルゼンチン株に連動するETF(上場投資信託)を対象にプット・オプションを買う戦略に妥当性がある。今後数週間の株安が進めば、この戦略は利益になり得る。
景気後退のデータが出る一方で、3月の月次インフレ率は15%と高止まりした。これにより中銀は難しい立場に置かれ、景気刺激のための利下げ(政策金利の引き下げ)に踏み切りにくい。金融政策の制約は景気の痛みと資産価格の下落圧力を長引かせる可能性が高い。
国債デフォルト(債務不履行)のリスクは上昇している。アルゼンチンのカントリー・リスク・プレミアム(国の信用リスクに上乗せされる利回り)は足元で約1,900ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)近辺で推移し、この四半期で大きく上昇した。信用リスクの拡大に備える、またはそれによる収益機会を狙う手段として、アルゼンチン国債のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ、デフォルト時の損失を補償する保険に近い派生商品)を買うのは妥当なヘッジとなる。これは2024年前半の債務再編懸念が意識された局面以来の水準だ。