コメルツ銀行は、イラン情勢に伴うエネルギー価格の急騰(エネルギー価格ショック)で、先月まで続いていた利下げ局面が中断されたことを受け、ポーランド国立銀行(NBP)が政策金利を据え置くとみている。同行によれば、アナリストの大勢見通しも中期的に金利据え置きを予想している。
同行は、原油価格が短期間で以前の水準に戻る可能性は低く、金融緩和(利下げ)の余地は限られると指摘。ブレント原油が1バレル=70ドルを下回らない限り利下げは見込みにくいとしているが、現時点でその水準への下落は予想していない。
Policy Outlook Under Energy Shock
政府の緊急経済対策(例:燃料価格の上限設定)は当面継続する可能性が高いという。こうした措置は、本来は金融政策の判断材料となる価格の動き(価格シグナル)を歪めることがあるとも述べている。
コメルツ銀行は、金融政策が通常の景気循環ではなく、財政による影響緩和(財政措置)も絡む地政学ショックに対応していると分析。そのため、現状ではNBPは据え置きを続けると予想する。
イランでの最近の衝突に起因するエネルギー価格ショックは、ポーランドの金融政策環境を一変させた。先月まで続いていたNBPの利下げは急停止した。2026年3月のポーランド中央統計局(GUS)の最新データでは、総合インフレ率(全体の物価上昇率)が燃料費の急騰で5.1%へ再加速している。
これを受け、ポーランド金利デリバティブ(金利の将来変動に連動する金融派生商品)では見直しが進んでいる。フォワード・レート・アグリーメント(FRA、将来の一定期間の金利をあらかじめ固定する契約)は、2026年初に少なくとも50bp(ベーシスポイント=0.01%)の利下げを織り込んでいたが、足元では反転し、年内の利下げを見込まない水準になった。市場は、NBPが政策金利を当面5.25%で据え置くとの見方を強めている。
Market Positioning And Watch Levels
金融政策は現在、ブレント原油(北海産の代表的な国際指標原油)の価格に強く左右されており、足元は1バレル=約98ドルで推移している。これは、2022年に世界の中央銀行が外生的なエネルギーショック(国内景気ではなく外部要因による急変)への対応を迫られた状況を想起させる。この局面では、トレーダーは中央銀行がハト派(金融緩和寄り)に転じる展開を期待しにくい。
そのため、ポーランド金利が高水準で推移する前提のポジションが合理的だという。具体例として、ポーランド金利スワップ(金利を固定と変動で交換する取引)で「固定金利を受ける」(受け固定=固定受け・変動払い)や、アウト・オブ・ザ・マネーのペイヤー・スワプション(将来、固定金利を支払う側になる権利=金利上昇に備えるオプション)を売ることで利上げが起きにくい前提に賭ける戦略を挙げている。ズロチは変動が大きいものの、タカ派(引き締め寄り)のNBPがEUR/PLN(ユーロ/ズロチ)を4.35近辺にとどめる下支え材料になっているとしている。
見通し転換の最大のシグナルは、原油価格の急落だという。ブレント原油が1バレル=70ドルを明確に下回らない限り、利下げは再び議題にならない。地政学リスクの後退(緊張緩和)が起こるまで、政策は据え置きが続く見通しだ。