BNPパリバは「米インフレは依然として需要主導だが、コロナ後のピークから影響は和らいでいる」と指摘

    by VT Markets
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    Apr 9, 2026

    BNPパリバの分析によると、米国のインフレ(物価上昇)は引き続き「需要(消費や投資などの強さ)」が最大の要因だが、コロナ後のピーク時ほどの押し上げ力は弱まっている。分析では、米商務省の経済分析局(BEA)のデータを用い、サンフランシスコ連銀がA.シャピロ氏により開発した手法(インフレを「需要要因」と「供給要因」に分けて寄与度を推計する方法)で、インフレを需要と供給の寄与に分解した。

    その結果、供給の寄与は2022年より低いものの、なお残っており、2018~19年頃の水準に近い。供給面の圧力が続く背景として、関税(輸入品にかかる税)、投入コスト(原材料・部品・輸送などの費用)の上昇、納期の長期化(供給側の遅れ)が挙げられ、制約はトランプ政権時の関税引き上げ以降、やや強まったとした。

    Demand And Supply Components

    需要の寄与は供給を上回っており、消費が底堅く、コロナ後に強かった状況と整合的だ。一方で、足元数カ月は労働市場(雇用環境)の弱まりとともに、需要の勢いが鈍化したとも指摘した。

    2026年4月時点で、インフレを動かす要因は明確に変化している。2025年の多くの期間は強い需要が中心だったが、その影響は弱まりつつある一方、インフレは下がりにくい。直近の3月のコアPCE(変動の大きい食品・エネルギーを除いた個人消費支出物価指数。米国で重視される基調インフレ指標)は3.1%と高止まりし、供給側の問題が想定以上に物価を押し上げていることを示した。

    供給制約(作る・運ぶ・調達する能力の不足)は2018~19年頃に近い形で目立ち始めている。3月のISM製造業指数(米供給管理協会が公表する景況感調査)でも、支払価格指数(企業が支払う仕入れ価格の上昇圧力)が予想外に上振れし、サプライヤーの納期(供給業者の納入に要する時間)が2カ月連続で悪化(長期化)した。貿易摩擦の継続と投入コストの上昇が、金融政策(利上げ・利下げ)だけでは下げにくいインフレの下支え要因になっていることを示す。

    Market Trading Implications

    この状況は、労働市場がようやく冷え始めた局面と重なる。直近の雇用統計では雇用増加が鈍化し、失業率が4.2%に上昇した。需要の弱まりが進む一方で、供給主導のインフレが粘るため、米連邦準備制度理事会(FRB)は難しい判断を迫られ、第2四半期の利下げの可能性は低下する。

    トレーダーにとっては、不確実性が高い環境では金利の変動(ボラティリティ)に注目しやすい。FRBは様子見になりやすい一方、指標の振れが大きくなるなら、SOFR先物(担保付き翌日物調達金利=SOFRを参照する金利先物)オプション(将来、一定条件で売買できる権利)は有効になり得る。金利の方向ではなく、変動の拡大に賭けることで、今後数週間の市場の迷いから収益機会を狙う考え方だ。

    イールドカーブ(満期別の金利の並び)にも機会がある。インフレが粘るためFRBが高金利を維持する一方、景気が弱含むなら、カーブのフラット化(長短金利差の縮小)や逆イールド(短期金利が長期金利を上回る状態)が進みやすい。短期金利が高止まりし、長期金利が景気不安で低下する展開を見込むポジションに妙味がある。

    この背景のもと、株式市場の予想変動率(インプライド・ボラティリティ。オプション価格から逆算される将来の変動見通し)は相対的に割安に見える。VIX(S&P500の予想変動率指数)が18近辺で推移する中、FRBが景気減速下でも高金利を長く維持してしまう「政策ミス」のリスクを十分に織り込んでいない可能性がある。ヘッジ(損失を抑える保険)としての防御策や、変動率急上昇への備えが有効になり得る。

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