金(ゴールド)は水曜日に上昇したものの、3週間ぶり高値の4,857ドルからは反落し、4,735ドル近辺で取引された。上昇率は0.70%超。原油価格の下落で米ドルが弱含み、米ドル指数(DXY、主要通貨に対するドルの強さを示す指数)は0.60%安の98.91と4週間ぶり低水準。
米国とイランは火曜日、2週間の停戦で合意。協議は金曜日にパキスタンで行われる予定。ドナルド・トランプ氏は、休戦はイランがホルムズ海峡を再開することが条件だとし、イランから「10項目の提案」を受け取ったと述べた。
地政学の動きと市場への影響
イスラエルとイランは攻撃の応酬を継続。イスラエルはレバノンでヒズボラ拠点も攻撃した。クウェートとサウジアラビアは、テヘランによる攻撃でエネルギー施設に被害が出たと報告。
イランはホルムズ海峡は閉鎖されたままだと説明。一方、高官は停戦の枠組みが整えば木曜または金曜に再開する可能性があるとした。ファルス通信は、イスラエルのレバノンでの行動への対応として、海峡を通過する原油タンカーの航行が停止していると報じた。ホルムズ海峡は世界の石油(原油や燃料など)海上輸送の2割超が通る要衝。
米国産WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート、代表的な原油指標)は約14%下落し、1バレル=95.00ドルを下回った。Prime Market Terminalによれば、金融市場では年末までにFRB(米連邦準備制度理事会)が政策金利を約0.10%(10ベーシスポイント、0.01%を1bpとする単位)引き下げる見通しが織り込まれている。
米国では今後、週次の新規失業保険申請件数、2025年10-12月期GDP(国内総生産)の確報値、コアPCE(個人消費支出)物価指数(食品・エネルギーを除いたFRB重視のインフレ指標)の発表が予定される。金のテクニカル面では、50日移動平均(SMA、一定期間の平均価格)4,779ドル、20日SMA4,723ドル、節目のサポート4,700ドル、100日SMA4,620ドル、4月2日安値4,554ドルが意識される。
売買への示唆と戦略
停戦発表を受けたWTIの95ドル割れは下げ過ぎの可能性があり、価格変動(ボラティリティ)を狙う取引機会になり得る。停戦はホルムズ海峡の再開が条件で、不透明感が残る。原油先物のオプションでストラドル(同じ権利行使価格でコール=買う権利とプット=売る権利を同時に買う戦略)を検討したい。交渉が成功しても失敗しても、どちらかに大きく動けば利益になり得る。
金は方向性が読みづらい。ドル安と利下げ観測は追い風だが、地政学リスクの後退は重し。オプションでプレミアム(オプション価格)を受け取る戦略が選択肢となる。たとえばXAU/USD(1オンス当たりの金の米ドル建てレート)先物のオプションでアイアン・コンドル(上下に離れたコールとプットを組み合わせ、一定レンジ内で利益を狙う戦略)を使い、直近の4,554~4,857ドルのレンジ外に上限・下限を置いて収益化を狙う。
FRB政策見通しが「据え置き」から「利下げ織り込み」へ急速に傾いたことが、マクロ(景気・物価・金利など)で最重要の変化だ。エネルギーショックが弱まったことへの反応で、2022年のインフレ局面と似た動きでもある。見通しの表現方法としては、SOFR先物(担保付き翌日物資金調達金利を基にした短期金利先物)を使い、年末に短期金利が低下する方向に賭ける手段がある。
米ドル指数(DXY)が98.91まで低下したことは下抜けを示し、インフレ指標が減速を確認すれば弱さが続く可能性がある。次のコアPCEは重要な検証材料となる。当面は、ドルのプット(ドル下落で利益)やユーロのコール(ユーロ上昇で利益)で下落に備える方法が考えられる。
最終的に、これらの戦略は金曜にパキスタンで予定される協議の行方に左右される。2025年の紛争では停戦が数日で崩れた例もあり、情勢は急変し得る。デリバティブ(先物・オプションなど、原資産価格に連動する金融商品)取引は満期を短めに設定し、目先の不確実性を取りに行きつつ、1カ月後の全面反転リスクを抑えたい。