NZD/USDは水曜日の欧州時間に1.6%上昇し、0.5830近辺へ上伸、0.5850をうかがう動きとなった。ニュージーランドドルは、投資家がリスクを取りやすい状況(リスクオン)に加え、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)が利上げに前向きな姿勢(タカ派)を示したことで、主要通貨に対して強かった。
米国とイランが2週間の停戦で合意し、投資家心理が改善した。ドナルド・トランプ米大統領は、イランの発電所や橋への攻撃計画を2週間停止するとし、イランはホルムズ海峡(中東の石油輸送の要衝)の再開に同意した。
Market Momentum And Risk On Tone
S&P500先物は欧州取引で2.75%高となり、6,800近辺。米ドル指数(DXY、主要通貨に対する米ドルの強さを示す指数)は0.85%低下し、98.70近辺となった。
イランは米国に対し10項目の提案も提出しており、金曜日にイスラマバードで協議される予定。RBNZは政策金利であるオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)を2.25%に据え置き、市場予想と一致した。
アナ・ブレマン総裁は、政策委員会で利上げも議論したと述べ、「中立金利」(景気を過熱も冷え込みもさせない金利水準)については中央値3.0%を含むレンジだと説明した。米国ではCMEのFedWatch(先物価格から市場が見込むFRB政策金利の確率を示す指標)によれば、トレーダーは年内のFRB利上げ見通しをほぼ織り込まなくなった。これは、2月28日に戦闘が始まった後に「少なくとも1回の利上げ」が織り込まれていた状態からの反転となる。
RBNZはインフレ率を1%〜3%に収めることを目標とし、雇用についても「持続可能な最大雇用」を支える。さらに、量的緩和(中央銀行が国債などの資産を買い入れて市場の資金量を増やす政策。コロナ禍で実施)も手段として持つ。
Trading Implications For Nzdupside
市場心理の急変により、ニュージーランドドルは「RBNZのタカ派姿勢」と「世界的なリスクオン」という2つの追い風を受けている。これにより、今後数週間はNZD/USDの上昇を想定したデリバティブ(先物やオプションなど、原資産の価格に連動する取引)戦略が意識されやすい。米国とイランの一時停戦で安全資産需要(不確実性が高い局面で買われやすい資産への需要)が弱まり、米ドルが同時に下押しされている。
RBNZのタカ派姿勢は最近の経済指標にも支えられている。2025年を通じてニュージーランドのインフレは高止まりし、直近の伸び率は前年比4.0%と、RBNZの目標レンジ(1%〜3%)を大きく上回る。労働市場も逼迫した状態が続き(人手不足で賃金が上がりやすい状態)、失業率も4.0%近辺で推移しているため、中央銀行が示唆した利上げ検討には根拠がある。
今回の緊張緩和で、通貨市場のインプライド・ボラティリティ(オプション価格から逆算される、将来の価格変動見通し)が低下した可能性が高い。単純にコールオプション(一定価格で買う権利)を買うよりコスト効率を重視するなら、NZD/USDのブル・コール・スプレッド(コールを買い、より高い行使価格のコールを売って費用を抑える上昇狙いの組み合わせ)といった手法が選択肢となる。これは、市場がFRBの利上げ観測を急速に織り込まなくなった局面とも整合的だ。
ブル・コール・スプレッドの例としては、0.5850の行使価格を買い、0.6000の行使価格を売る(近い満期)構成が考えられる。これにより、損失を限定しつつ上昇局面で利益を狙える。0.6000は節目として意識されやすい水準(心理的節目)であり、そこへ向かう上昇があれば構造的に恩恵を受けやすい。主なリスクは停戦合意が不安定である点だ。
過去にも、大きな地政学リスクが想定外に和らぐと、リスクに敏感な通貨が急騰する例があった。ただし、金曜日に予定されるイスラマバードでの協議は重要な点検ポイントとなる。交渉決裂の兆しが出れば、今回の動きは始まった時と同じくらい速く反転する恐れがある。