ドナルド・トランプ氏は水曜日、SNS「Truth Social」への投稿で、米国はイランと緊密に協力し、同氏が「非常に生産的な体制変更(regime change)」と呼ぶ取り組みを進めると述べた。さらに、ウラン濃縮(核燃料に使うためにウランの成分比率を高める工程)は行われないと書いた。
同氏は、米国がイランと協力して、地下深くにある施設から核関連の「粉じん(dust)」を取り除くとし、B-2爆撃機(米軍のステルス爆撃機)に言及した。また、現場は宇宙軍(Space Force、米軍の宇宙領域を担当する組織)の衛星監視下にあり、攻撃日以降は何も動かされていないと付け加えた。
トランプ氏の対イラン協議と市場の反応
トランプ氏は、米国がイランと関税(輸入品にかける税)や制裁緩和について協議すると述べた。さらに、15項目のうち多くはすでに合意済みだとした。
市場では週半ば、リスク選好(投資家が安全資産より株式などリスク資産を選びやすい状態)の改善が取引を動かしていると伝えられた。公表時点で、S&P500先物は当日2.8%高、ナスダック先物は3.5%高となった。
このニュースを受け、今後数週間で市場の変動が大きく低下する可能性がある。CBOEボラティリティ指数(VIX、米株の予想変動率を示す指標)は、2025年を通じた中東情勢の緊張で上昇してきたが、足元水準から大きく下落し得る。VIX先物(将来のVIX水準に連動する先物取引)を売る、またはインバース(逆方向に動く)ボラティリティ商品を買う戦略が想定され、2024年終盤の落ち着いた水準(14〜15程度)への回帰を狙う見方もある。
S&P500先物とナスダック先物の急伸は、リスクオンが強まっているサインといえる。初動に乗り遅れた投資家にとっては、SPYやQQQ(それぞれS&P500、ナスダック100に連動するETF)などの指数でアウト・オブ・ザ・マネー(現時点では行使しても得にならない水準)のプット(下落に備える権利)を売る戦略も検討対象となる。インプライド・ボラティリティ(オプション価格から逆算される市場の予想変動率)が高くなりやすく、「下値の目安」が切り上がったとの見方が背景にある。単日の上昇としては、2024年の上昇局面以降でも大きい部類だとの指摘がある。
原油と防衛関連への影響
協議が進展すれば、原油価格は大きく下落する可能性がある。イラン産原油が日量150万バレル超、世界市場に戻る可能性は、数週間前には十分に織り込まれていなかった供給過剰(供給が需要を上回る状態)を生み得る。トレーダーの間では、WTI(米国産原油の代表指標)やブレント(北海産を基準とする国際指標)の原油先物に対するプット買いが意識される。2025年の急騰局面で原油が1バレル90ドルを超えた後だけに、下落ヘッジ需要も出やすい。
一方、防衛・航空宇宙セクターは逆風となりやすい。長期的な紛争の可能性が後退すれば、ロッキード・マーティン、RTX、ならびにITA(航空宇宙・防衛に投資するETF)などは市場全体を下回る展開もあり得る。これら銘柄でプットを買う、またはベア・スプレッド(下落を見込むオプションの組み合わせ)を組むことで、防衛関連への資金流入が鈍る局面から収益機会を狙う戦略も考えられる。