米国の耐久財受注(輸送機器を除く、つまり航空機など振れの大きい品目を外した指標)は2月に前月比0.8%増となった。市場予想は0.5%増だった。
企業の設備投資(企業が機械や設備に投じる支出)の強さを示すこのデータは、景気に想定以上の底堅さがあることを示唆する。3月の非農業部門雇用者数(農業以外で増えた雇用者数)が29.5万人増と強かったことも踏まえると、FRB(米連邦準備制度理事会)が近く利下げ(政策金利の引き下げ)に踏み切るという見方は揺らぐ。市場は、夏に想定していた緩和(利下げ)開始の時期と、利下げ幅を見直す必要が出てきた。
金利は高水準が長期化
この状況を踏まえると、金利が「高いまま長く続く」シナリオを狙う金利デリバティブ(債券利回りや短期金利に連動する派生商品)に妙味がある。6月利下げの確率は低下した可能性があり、2026年6月または9月限のSOFR先物(担保付き翌日物資金調達金利に連動する短期金利先物)を売る(=将来の金利低下に賭けない)戦略が有力とみる。背景は、FRBが今後の発信で、より慎重で、データ次第(指標を見て判断する)という姿勢を強めるとの想定だ。
株価指数にとって今回の材料は一長一短で、値動きが荒くなりやすい。企業投資の強さは利益拡大に追い風だが、利下げ先送りは株価の評価(将来利益を金利で割り引いて算定する価値)を押し下げやすく、とりわけハイテク株に逆風となり得る。このため、ナスダック100指数のプット・スプレッド(売る権利のオプションを複数組み合わせ、下落に備えつつコストを抑える戦略)の購入で、金利不安による調整への備えを検討する。
景気の強さは、米ドル高にもつながりやすい。直近のコアCPI(食品とエネルギーを除いた消費者物価指数)が3.1%と、インフレが粘着的(下がりにくい)であることを示したため、ドル建て資産の相対的な魅力が高まりやすい。米ドル指数(DXY、主要通貨に対するドルの強さを示す指数)のコール・オプション(買う権利)を買い、上昇局面を狙う。特にユーロに対して効果が見込まれる。
この局面は、2024年に強い経済指標が続き、市場が利下げ時期の見通しを何度も後ろ倒しした環境を想起させる。VIX(市場の予想変動率で、恐怖指数とも呼ばれる)は最近14まで低下しており、オプションの保険料(プレミアム)は相対的に割安だ。市場がこの変化を織り込む前に、何らかのポートフォリオ防衛策を用意しておくのが妥当だ。