雇用統計と介入リスク
平均時給は前月比+0.2%と予想の+0.3%を下回り、前回の+0.4%から減速でした。前年比は+3.5%と予想の+3.7%を下回り、前回の+3.8%から鈍化でした。 雇用者数の強いヘッドラインは、FRBが政策金利をより長く据え置くとの見方を支え、市場では利下げ織り込みが後退でした。原油絡みのインフレリスクは、米イスラエルとイランを巡る戦争に関連付けられていました。 企業景況感は軟調で、S&Pグローバル総合PMIは2月の51.9から3月は50.3へ低下し、2023年9月以来の低水準でした。サービス業PMIは速報値の51.1を下回る49.8となり、3年超ぶりの低水準でした。 米ドル指数は100.15近辺で推移し、2日続伸でした。ただ、USD/JPYは上値が重く、日本当局が過度な変動に対して対応する姿勢を示していることが意識されていました。市場ポジションとボラティリティ
米雇用統計の強さは、対円でのドル相場に分かりにくい構図をもたらしていました。新規雇用者数17.8万人というヘッドラインはドルを支える一方、相場は上昇の勢いを得にくい状況でした。主因は、160円水準に接近すれば日本当局が円高介入に踏み切るとの市場の警戒感でした。 この構図は過去にも見られており、市場参加者は2024年春の記憶を強く意識していました。当時、ドル円が160円を突破した局面で財務省は合計600億ドル超規模の大規模介入を実施でした。こうした前例が現在の相場でも実質的な上値の「天井」として機能し、トレーダーが水準を大きく押し上げることに慎重になりやすい状況でした。 ヘッドラインの雇用者数は強かったものの、内訳は底堅さに欠ける内容でした。賃金伸びの鈍化やサービス部門の縮小は、米景気のよりソフトな姿を示唆でした。介入リスクが重なるなか、こうした強弱混在のデータは、持続的なドル高に積極的に賭ける根拠に乏しい内容でした。 デリバティブ取引の観点では、上方向のオプショナリティを売る戦略が示唆されていました。具体的には、権利行使価格が160円超のコール売り、またはベア・コール・スプレッドの構築により、上値の限られた環境でプレミアム獲得を狙う手法が有効になり得る状況でした。これは、日本当局が今後数週間にわたり心理的節目である160円を実質的に防衛するとの見方を前提とした戦略でした。 米国指標と日本の介入警戒が綱引きとなり、値幅が荒くレンジ相場になりやすい環境でした。USD/JPYオプションのインプライド・ボラティリティは不透明感を反映して高止まりしやすい見通しでした。レンジ継続を見込む向きには機会となる一方、FRBスタンスや日本の政策が急変した場合には急激な値動きのリスクを示唆する状況でした。トレーディングを始めましょう – ここをクリックしてVT Markets口座を開設