要点
エネルギー価格の上昇がインフレ懸念を押し上げ、市場は金利見通しの再評価を迫られていました。米連邦準備制度理事会(FRB)は2026年3月17〜18日の会合後、政策金利を3.50%〜3.75%で据え置きでした。 ドット・プロット(金利見通し)中央値は、2026年後半に25bp(0.25%)の利下げ1回を依然示していましたが、当年の利下げは不要と見る当局者も増えていました。金はインフレや地政学リスクへのヘッジ手段として用いられやすい一方、金利が高い局面では利息を生まないため相対的な魅力が低下しやすい性質でした。 今週後半には米週次の新規失業保険申請件数と雇用統計(非農業部門雇用者数)が公表予定でした。弱い結果となればドルを押し下げ、ドル建て商品を下支えする可能性でした。 本報告は4月1日23:35 GMT、FRB会合の日程および金利レンジに関する記述を訂正でした。Trading Implications And Positioning
金が新高値圏に達するなか、当方にとって主要なせめぎ合いは「安全資産需要」と「金利見通しの逆風」でした。トランプ大統領の演説は極めて大きなイベントリスクであり、演説をまたいでポジションを保有することは、トーン(内容)に賭ける行為になりやすい状況でした。市場は大きな不確実性を織り込んでおり、いずれの方向にも急変し得ることを前提に構える必要がある局面でした。 足元の価格には地政学的プレミアムが上乗せされている様子で、2022年のウクライナ紛争開始後に金が一時1オンス2,000ドル超まで急騰した局面と類似でした。ホルムズ海峡の封鎖継続は過去のオイルショックを想起させ、インフレ懸念を押し上げることで当初は金に追い風となり得る環境でした。ここからのエスカレーション次第では、心理的節目の5,000ドルに向けて相場を押し上げる可能性も十分でした。 もっとも、2022〜2023年にかけてFRBがインフレ抑制のため政策金利を5%超まで積極的に引き上げた局面では、金の上昇が抑え込まれた経緯も踏まえる必要がありました。現状のFF金利は3.50%〜3.75%で、すでに一部当局者が2026年の利下げ期待を後退させている状況でした。高金利環境が長期化すれば、無利息資産である金の保有コストは相対的に高くなり、地政学的緊張が急速に和らぐ場合には上値を強く抑える要因になり得る点でした。 こうした二者択一(バイナリー)的なリスク環境を映し、金オプションのインプライド・ボラティリティは、2025年の地域銀行危機以来の水準へ急上昇していました。方向性に関わらず大きな値動きで収益機会を得るストラドルやストラングルの購入は、大統領演説およびイラン情勢を巡る変動を取り込むうえで、慎重な戦略になり得る示唆でした。高値圏で方向を当てにいくより、値動きそのものに賭ける発想でした。 次の雇用統計(NFP)は重要度が一段と高まっていました。特に2026年2月分の前回結果が、雇用者数+27.5万人と底堅い内容だった後だけに注目でした。仮に+18万人を下回るような弱い結果となれば、「ノーランディング」シナリオに疑義が生じ、FRBが利下げ計画を維持する圧力となり得ました。その場合、ドル安を通じて金を押し上げ、短期のコールオプションが上昇局面を狙う手段として魅力的になり得る状況でした。トレーディングを始めましょう – ここをクリックしてVT Markets口座を開設