スタンダードチャータード銀のエコノミストは、米国は原油急騰を吸収し、1970年代型のスタグフレーション再来リスクを回避できるとみていました

    by VT Markets
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    Mar 27, 2026
    スタンダード・チャータードのエコノミストであるダン・パン氏とスティーブ・イングランダー氏は、足元の原油価格上昇が米国で1970年代型のスタグフレーション局面を招く可能性は低いと主張していました。両氏の見立てでは、主な影響は総合インフレ率を一時的に押し上げることにとどまり、コア・インフレ率とGDPへの波及は小さく、労働市場の冷却が進むなかで米連邦準備制度理事会(FRB)は政策を据え置く公算が大きいとしていました。 両氏は、米国のエネルギー消費が2000年代後半以降おおむね横ばいで推移していること、またエネルギー支出が家計・企業の予算に占める比率が低下していることを強調していました。さらに、この2年間で労働市場が軟化し、景気サイクル序盤と比べて賃金上昇圧力が和らいでいるとも指摘していました。

    原油ショックのスタグフレーション性は小さい

    両氏はまた、2022年よりも産出ギャップが拡大しているため、ショックのより大きな部分がインフレの持続的上昇ではなく実質賃金の低下として表れ得ると付け加えていました。FRBのFRBUSモデルを用いたベースケースでは、総合PCEインフレ率が第2四半期にかけて約3.1%に達し得ると推計していました。 コア・インフレ率については、短期的に前年比3.0%近辺で伸びが止まった後、第4四半期にかけて横ばいになる可能性があると見込んでいました。失業率は4.5%をやや上回る程度まで小幅に上昇し、成長への影響はわずかにマイナスにとどまるとの見方でした。 市場では年内のFRB利下げ織り込みが50bp超取り除かれ、利上げの小さな可能性まで織り込み始めているとしつつも、モデル上は成長鈍化が目先のインフレリスクを相殺し、政策当局は動く前により明確な証拠を待つ方向に傾くと両氏は論じていました。 足元の原油急騰は、一部が懸念したようなスタグフレーション型ショックにはなりにくいというのが両氏の評価でした。昨年末にブレント原油が一時1バレル=110ドルを上回った後、現在は95ドル前後で落ち着いており、米国では消費支出に占めるエネルギー比率が約4%と、1970年代のショック時(8%超)に比べて低い水準にあるため耐性が高いとしていました。

    FRBは据え置き見通し

    影響は総合インフレに集中し、基調的な物価への波及は限定的になると両氏は予想していました。直近データもこの見方と整合的で、総合PCEは前年比2.9%である一方、コアPCEは2.8%で推移しており、労働市場の軟化が基調的な物価圧力の抑制に寄与していると示されていました。 こうした背景のもと、FRBは直近会合と同様に政策を据え置くと両氏は見ていました。大幅利下げ期待は後退しているものの、新たな利上げサイクルも起こりそうにないことから、FRBは引き続き様子見姿勢を維持すると推察し、金利ボラティリティ低下の恩恵を受けるポジショニングが有利になり得るとも示唆していました。 成長への影響は軽微にとどまり、失業率は足元の約4.3%から年後半にかけて4.5%をやや上回る水準へにじり上がると見込んでいました。両氏の整理では、これは景気後退ではなく減速であり、大幅な下振れ懸念は誇張されている可能性が高いとしていました。市場面では、株式のインプライド・ボラティリティが高めに見える余地があり、短期的にはVIX先物の売りが有望な取引になり得ると論じていました。

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