原油価格は、TDセキュリティーズの基本シナリオでは1バレル=90ドルをやや上回る水準で落ち着いている。ブレント原油は停戦開始後、1バレル=90〜100ドルの範囲で推移してきた。
足元の取引では、現在の水準が受け入れられていることがうかがえる一方、このレンジを明確に上抜ける動きは限られている。同行のノートは、背景に中東情勢の緊張が続いている点を挙げた。
中東リスクと市場の焦点
中東の動向をめぐる不透明感は引き続き市場の注目点だ。ホルムズ海峡が開放されたままか、閉鎖されるのか、あるいは通航が不安定になるのかにも関心が集まっている。
レポートは、市場がエネルギー価格は当面、現在の水準近辺で落ち着くとの見方に傾きつつあるとする。
変動性戦略とレンジ見通し
この見方を補強する材料として、CBOE原油ボラティリティ指数(OVX)が挙げられる。OVXは、原油価格の「先行きの値動きの大きさ(予想変動率)」をオプション価格から算出した指数で、年初に55を超えた後、足元では38前後まで低下している。加えて、OPECプラス(OPECとロシアなど協調減産を行う産油国の枠組み)の監視委員会は、第2四半期を通じて生産枠(生産量の目安)を維持する方針を確認した。こうした要因が、レンジ相場の下値と上値の目安になっている。
最大の不確実要因はホルムズ海峡で、これがオプションの織り込み(予想変動率)を下げにくくしている。もっとも、4月の船舶追跡データでは、タンカーの通過回数は2025年第4四半期の平均から約5%の減少にとどまり、現時点では実際の供給断絶というより「リスク分の上乗せ(地政学リスク・プレミアム)」の色合いが強い。プレミアムの上乗せがある状態は、状況を丁寧に追う必要がある。
2025年にかけての急激な値動きを踏まえると、現在の落ち着きは脆い可能性がある。当時は地政学関連の報道で相場の前提が一気に崩れる局面があったため、プレミアム狙いの取引を優先する場合でも、損失を限定するルール(損切り)を徹底し、急変に備えた保険として、権利行使価格が大きく離れた(アウト・オブ・ザ・マネー)安価なオプションを一部持つといった対応が求められる。