ECB(欧州中央銀行)のルイス・デ・ギンドス副総裁は火曜日、ECBは「プライベート・クレジット」を金融安定へのリスクとみていると述べた。ロイターによると、同氏は他にも、高い市場バリュエーション(資産価格の割高感)や、一部の国の緩い財政政策(政府支出の拡大や減税で景気を下支えする姿勢)をリスク要因に挙げた。
発言は金融政策の見通しについて明確な手掛かりを示さなかったため、ユーロ相場の反応は限定的だった。報道時点でEUR/USDは0.2%安の1.1760近辺で推移し、米ドルは底堅かった。
欧州当局がプライベート・クレジットや割高な市場評価のリスクを指摘する一方、市場の目先の反応は静かで、温度差がみられる。これは市場の警戒感が薄い状態を示し、しばしばボラティリティ(価格変動の大きさ)の上昇に先行する。こうした状況は、急変に備える「保険」を割安に確保する機会になり得る。
VSTOXX(欧州株の予想変動率を示す指数。オプション価格から算出され、いわゆる「恐怖指数」)は足元で13.8近辺と数年ぶりの低水準で、オプション(将来の一定期間、あらかじめ決めた価格で売買する権利)を使ったヘッジは相対的に安い。加えて、EURO STOXX 50(主要ユーロ圏大型株50銘柄の株価指数)は予想PER(株価収益率。株価が利益見通しの何倍かを示す指標)が15倍超と、過去10年平均を上回り、割高感が意識される水準だ。予想変動率の低さとバリュエーションの高さが同時に進む局面では、下落への備え(ダウンサイド・プロテクション)を買う合理性が高まる。
今後数週間は、欧州主要株価指数の長期のプット・オプション(一定価格で「売る権利」。相場下落時に価値が上がり、損失を抑える手段)を段階的に積み上げることを検討したい。コストを抑える方法として、プット・スプレッド(買うプットと、より低い行使価格のプットを売る組み合わせ。保険料を抑える代わりに利益上限ができる)を用いるのが有効だ。また、欧州企業のクレジット・スプレッド(国債など安全資産に対する社債利回りの上乗せ。信用不安の度合いを反映)も注視したい。例えばiTraxx Europe Crossover(投資適格未満の企業を中心とする欧州のクレジット指数。スプレッド拡大は信用不安の高まりを示す)が大きく拡大するなら、指摘されたリスクが顕在化し始めた初期サインとなる。