USD/JPYは月曜日、金曜日に159.50近辺から一時157.60近辺まで下落した後、横ばいとなった。下落率は0.1%未満で、158.80近辺で取引。値動きは158.50〜159.20の約150pips(ピップス:為替の最小変動幅の単位。USD/JPYでは通常0.01円)に収まった。
日曜日、米国はオマーン湾でイラン船籍の貨物船「Touska(トウスカ)」を拿捕(だほ:政府が船舶を押収すること)した。4月8日に発表された2週間の停戦は水曜日に期限を迎え、トランプ大統領は同日夜に終了すると述べた。
Geopolitical Risk Versus Price Action
イランは、イスラマバードでの協議(当事者間の話し合い)の第2回が確定したとは認めていない。イランは4月18日にホルムズ海峡を再び封鎖し、WTI原油(米国の代表的な原油価格指標)は1バレル89ドルを上回った。
今週の主要な米経済指標は、火曜日の小売売上高(消費の強さを見る統計)と、木曜日の速報PMI(購買担当者景気指数:企業への調査で景気の方向性を示す指数)だ。日本は金曜日に全国CPI(消費者物価指数:物価の上昇率を示す)を公表し、同日に米ミシガン大学消費者態度指数(消費者の景況感を測る調査)も発表される。
15分足チャートではUSD/JPYは158.83で、当日の始値159.18を下回った。ストキャスティクスRSI(買われ過ぎ・売られ過ぎを測る短期の勢い指標)は67近辺。上値抵抗は159.18近辺。
日足では、50日EMA(指数平滑移動平均:直近の値動きをより重視する移動平均)158.15と、200日EMA154.60を上回って推移。ストキャスティクスRSIは21.19。記事のテクニカル分析部分にはAIツールが使われた。
Options Positioning
158.80近辺で方向感が出にくいなか、為替の落ち着いた値動きと、イランをめぐる地政学リスクの高まりには不一致がみられる。水曜日の停戦期限は、結果次第で市場が大きく動く可能性がある重要イベントだが、市場はそのリスクを十分に織り込めていないように見える。こうした油断は、急落への備えとなるオプション(将来の特定時点までに、あらかじめ決めた価格で売買できる権利)の価格が相対的に割安であることを示唆する。
想定すべきは、リスク回避(投資家が危険資産を避け、安全資産に資金を移す動き)のショックで円が「安全通貨」として買われる展開だ。数週間先までの期限のUSD/JPYプット(売る権利。下落に備えるオプション)を買うことは、損失上限を限定しつつ、米・イラン交渉の悪化による下落で利益を狙える手段となる。情勢が落ち着いてドル円が上昇に戻っても、損失が無制限に拡大しない。
停戦が崩れれば、WTI原油は再び100ドル方向に戻る可能性がある。世界の石油液体消費の約21%がホルムズ海峡を通過しているためだ。2022年初めには、ウクライナ侵攻で原油価格が数週間で30%以上急騰し、市場の変動(ボラティリティ:価格の振れの大きさ)が高まった。当時は金融政策(金利の方向性)を背景にUSD/JPYが上昇したが、湾岸での直接衝突となれば、より強い円買いが起きる可能性がある。
注目すべき指標はインプライド・ボラティリティ(市場が織り込む将来の変動率。オプション価格から逆算する)で、明確なリスクがあるにもかかわらず低水準にとどまっている。水曜日の期限を平和的に乗り切れなければ、為替の変動率は大きく上昇すると見込まれる。つまり、変動率が上がってオプションが高くなる前に備えを入れる判断が合理的だ。
テクニカル面では、50日移動平均(中期の方向性を見る指標)が位置する158.15近辺が、上昇トレンドの重要な防衛線となる。悪材料でここを明確に下回れば、上昇基調が崩れ、154.60近辺へ下押しが進む可能性がある。その場合、プットの価値は大きく上がる。